全日病ニュース

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医療資源の投入量で病床機能を判断。入院受療率は地域差を補正

医療資源の投入量で病床機能を判断。入院受療率は地域差を補正

【地域医療構想策定GL検討会】
厚労省が2025年の医療需要推計方法を提案。論点多く、議論の時間は少なく

 10月31日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に、事務局(厚労省医政局地域医療計画課)は、2025年の医療需要(入院と在宅)の推定方法を提示。検討会は主に入院需要について議論した(2面に関連記事)。
 しかし、事務局案に多くの構成員から様々な疑問が示されたため、事務局が示した推定方法による試算をみた上でより具体的な議論を行なう必要を確認、この日の議論を終えた。
 事務局は、次回(11月21日)に需要推定試算の結果を例示するほか、需要推定を踏まえた病床数算定の考え方を提案する予定だ。
 2025年の医療需要は同年における病床の必要量を算定する前提となるもので、いずれも地域医療構想に、したがって、GLにその推計方法が記載される。
 事務局は、医療需要をもとに病床数を推計するとして、この日の検討会で医療需要推計方法の議論を先行させた。
 一体改革の2025年モデルが医療改革の効果として見込まれた平均在院日数短縮等の仮定をもとに導かれたのに対して、この方法は、「DPCやNDBのレセプトデータを分析し、患者の状態や診療実態を一定程度推測することにより、より適切な推計を行う」と、事務局はその意義を謳った。
 その核心は、患者が入院する病床の機能を医療資源の投入量にもとづいて区分、患者数を機能別に算定し、それに地域差の補正を加えた上で入院受療率を導き、2025年の推定人口に乗じることによって1日あたり入院患者数を機能別に推計、それを都道府県ごと、構想区域ごとに算出するというもの。
 この事務局案に対して、構成員からは、入院受療率の地域差補正、救急患者の扱い、急性期後の患者の医療資源投入量による区分方法など論点が多々あることが示され、試算を踏まえるとはいえ、より時間をかけて精緻な議論を行なう必要があることがはっきりした。
 しかし、一方で、政府の専門調査会は、医療費目標を主眼としつつも需要と病床数の推定方法を確立しようとしており、検討会の議論との整合性が問われている。
 加えて、検討会は1月中にGL案をまとめることを目標としており、事務局は、残り4回ほどの議論でとりまとめを見込んでいるが、2025年の医療需要と各機能必要量の推計方法以外にも、(1)あるべき将来の提供体制を実現する施策、(2)構想を策定するプロセス、(3)「協議の場」の設置・運営、(4)病床機能報告の内容の公表法等など、重要な議論が残されており、圧倒的に時間が足りないのが実状だ。