全日病ニュース

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医療・介護改革で初の議論。医療費水準の検討を踏まえる方向

医療・介護改革で初の議論。医療費水準の検討を踏まえる方向

【社会保障制度改革推進会議】
新たに医師等11人が専門委員に就任

 政府の社会保障制度改革推進会議は11月6日、医療・介護分野の改革をテーマに意見を交わした。厚生労働省から二川一男医政局長が出席し、医政・老健・保険3局連名になる資料を用いて「医療・介護分野の改革の進捗状況」を報告した。
 推進会議は今回が3回目。第2回会議(10月10日)では、子ども・子育てと年金の分野について、内閣府と厚労省から改革の進み具合の報告を受けて議論を行なっている。
 議長の清家氏(慶應義塾長)は、第2回会議後の記者会見で、「年金支給開始年齢(引き上げ)の問題を議論する必要があると(私から)申し上げたほか、委員からは、子育て支援の財源を確保するために社会保険方式導入の議論が必要との意見も示された」と、議論の一端を披露した。
 11月6日の推進会議では、まず、新たに選任された専門委員(医療・介護分野)が紹介された。専門委員は同会議の委員に不在だった医療・介護の専門家11人(別掲)からなる。名簿には「特に医療・介護サービス提供体制の改革を担当」との注釈がついた。
 厚労省の二川医政局長は、医療介護総合確保推進法を踏まえた2025年に向けた医療・介護改革の現状を、(1)医療・介護サービス提供体制の一体的確保(総合確保方針と新基金)、(2)病床機能報告制度と地域医療構想、(3)医療従事者の確保とチーム医療の推進、(4)介護保険制度の改革、の4点から説明。
 とくに、(2)に関しては「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の議論内容に踏み込んで詳しく説明した。
 二川医政局長の説明に対して、委員からは「医療と介護が有機的に関連づけられて改革が進められている」という肯定発言が出たが、一方で、新基金の効果を明示すべきとの声もあがった。
 地域医療構想と新基金による事業計画の策定は都道府県が担う。さらに、国保の運営主体も市町村から都道府県に移行する。委員からは、こうした都道府県の役割に対する強い期待感を表明する意見も示された。
 荒井専門委員(奈良県知事)は、「都道府県は各地の先進的事例を積極的に取り入れ、ベストプラクティスを国に示さなければならない」と述べた。
 このほか、土居委員は、データから医療費等地域差の要因を掌握し、地域医療構想にその対応を盛り込む必要があると発言した。
 これを受け、清家議長は「データに基づいて医療費水準のあり方を検討することは重要な課題だ」と指摘、「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の検討状況を踏まえつつ、議論を進める考えを明らかにした。

□社会保障制度改革推進会議の専門委員(医療・介護分野)

荒井 正吾 奈良県知事
磯  彰格 全国社会福祉法人経営者協議会副会長
今村  聡 公益社団法人日本医師会副会長
大島 伸一 独立行政法人国立長寿医療研究センター名誉総長
小山  剛 高齢者総合ケアセンターこぶし園総合施設長
坂本 すが 公益社団法人日本看護協会会長
鈴木  準 株式会社大和総研主席研究員
鷲見よしみ 一般社団法人日本介護支援専門員協会会長
田近 栄治 一橋大学大学院経済学研究科特任教授
山本 信夫 公益社団法人日本薬剤師会会長
和田 明人 公益社団法人日本歯科医師会副会長