全日病ニュース

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リハ機能強化加算を基本サービス費に包括

【短期入所療養介護(老健)】

リハ機能強化加算を基本サービス費に包括

通所リハに「生活行為向上リハ」の報酬体系を新設

 2015年度介護報酬改定に関する介護給付費分科会の議論は11月19日に各論を終えた。
 「生活行為向上リハ」の報酬体系(通所リハ)の新設、短期入所療養介護(老健)におけるリハ機能強化加算の基本サービス費への包括、介護職員処遇改善加算の維持とさらなる評価区分の新設、などが提案された。
 居宅関係にかかわる11月13日、19日の議論から、事務局(厚労省老健局老人保健課)が提案した主な論点をまとめた。

□11月13日に提示された論点

【通所リハ・訪問リハの報酬・基準】
◎リハマネジメントの再構築
①通所リハのリハマネジメント加算に新たな評価項目を追加、かつ、算定要件を見直した上で、報酬を引き上げる。
②訪問リハの基本報酬に包括されているリハマネジメントを、通所リハと同様に充実を図った上で、あらためてリハマネジメント加算として別立てで評価する。
③訪問リハにおける、訪問介護の提供責任者に対する理学療法士等の指導・助言に対する評価を、リハマネジメント加算に包括する。
◎通所リハの評価の見直し
①個別リハと短期集中リハを統合、かつ、個別リハ実施加算は基本報酬に包括する。
②認知症高齢者に対するリハは、認知症の特徴に合わせたリハとして、機能を見直す。
・認知症集中リハと短期集中リハ加算を一体にした認知症短期集中リハ(3ヵ月間を限度)を新設する。
・認知症短期集中リハ提供後の評価により、新設する「生活行為向上リハ(仮称)」(次項参照)に移行する。認知症短期集中リハ後もリハを継続できるが、引き続き、「生活行為向上リハ」への移行を促す。
③訪問と通所を組み合わせた、ADL、IADL、社会参加など生活行為の向上をめざすリハを評価する新たな体系(生活行為向上リハ=仮称)を導入する。
・最初の3ヵ月間を通所訓練期とし、次の3ヵ月間を社会適応訓練期とし、計6ヵ月間を限度に提供、次のサービス(通所リハ以外の通所系サービスや地域支援事業等)に移る。
・実施頻度、回数、時間は実施計画で決定。月1回の包括評価とする。
◎訪問リハの評価の見直し
①短期集中リハは、実施期間を3月とするなど、頻度や時間などの機能を見直す。
◎通所・訪問リハ終了後の各種地域サービス等への移行の評価
・通所リハから通所介護等、訪問リハから通所リハ・通所介護等へ、利用者が一定期間以内に他の通所系サービスや地域支援事業等に移った場合の実績を評価する。
◎通所リハにおける重度者対応機能評価の見直し
・要介護3以上を一定割合受け入れ、かつ、看護職員を提供時間を通じて専従で1以上配置している要件を満たし、介護職員または看護職員を基準より常勤換算で複数以上加配している事業所を加算で評価する。
・重度療養管理加算の対象者を現行の要介護4・5以上から3以上に拡大する。
◎訪問看護によるリハと訪問リハの一体的見直し
①訪問看護の理学療法士等の訪問と訪問リハの基本的な報酬評価を合わせる。
②訪問看護の理学療法士等の訪問に対しても、訪問リハと同様、リハマネジメント加算を新設する。
◎同一事業所が訪問リハと通所リハを提供する場合の運営の効率化
 同一事業所が訪問リハと通所リハを提供する場合、以下内容の一体的作成を可能とする。
①通所リハ計画と訪問リハ計画の作成
②計画書に対する利用者の同意書
③計画のサービス実施状況の診療記録への記載
【療養通所介護の報酬・基準】
◎重度要介護者への対応体制の評価
・重度要介護者の送迎を評価する「個別送迎体制強化加算(仮称)」を設ける。
・重度要介護者の入浴を評価する「入浴介助体制強化加算(仮称)」を設ける。

□11月19日に提示された論点

【短期入所療養介護の報酬・基準】
◎リハの実施に応じた評価への見直し
 短期入所療養介護(介護老人保健施設)において、算定率が90%に達しているリハ機能強化加算を基本サービス費に包括化する。ただし、当該加算の要件のうち、個別リハ計画の策定は個別リハ実施加算の要件に位置づける。
【介護職員の処遇改善】
◎介護職員処遇改善加算を維持し、さらに、上乗せ評価する区分を新設する。
(1)加算取得のキャリアパス要件として、①職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備、②資質向上計画の策定と研修実施または研修機会の確保のいずれかを満たすことを求めているが、新たな区分の要件では①と②の両方の整備を求めるともに、現行のキャリアパス要件としてはどうか。
(2)また、キャリアパス要件では、『定量的要件』として、賃金改善以外の処遇改善への取組の実施を求めているが、新設区分では、近年に新たに実施した取組の記載を求める。
◎サービス提供体制強化加算の要件を見直す。
(1)介護福祉士の配置割合がより高い状況を評価するための区分を新設する。
(2)日常生活継続支援加算をサービス提供体制強化加算に置き換える
 介護老人福祉施設における「介護福祉士の手厚い配置」と「重度の入所者の受入れ」を同時に評価している日常生活継続支援加算は、サービス提供体制強化加算を創設することで、一元的に評価する。
【地域区分について】
◎地方公務員の地域手当の支給地域の設定の準用
・地域区分の設定に当たっては、公務員(国家公務員または地方公務員)地域手当の設定がある地域については、地域手当の設定に準拠するように見直す。
・公務員地域手当の設定がない地域は、隣接する地域の実情を踏まえた設定が可能となるよう、一定の配慮の上で区分を設定する。
・見直しにあたっては、すべての地域について、自治体からの意見を聴取したうえで必要な経過措置を講じる。