全日病ニュース

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特定保健指導 検査値改善と生活習慣病の医療費抑制に効果

特定保健指導 検査値改善と生活習慣病の医療費抑制に効果

 「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」は11月26日、特定健診・保健指導にメタボリックシンドローム関連疾患の医療費を減少させる効果があるとする分析結果(第2次中間報告)を公表した。
 同WGは、①特定健診・保健指導による検査値改善の効果と行動変容への影響、②特定健診・保健指導による医療費適正化効果、③特定健診・保健指導によるその他効果の各検証を行なうため、2013年3月に、厚労省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」に設置された。
 レセプト情報・特定健康診査等情報データベース(NDB)を使って、08年度から11年度の特定健診・保健指導受診者のデータ(各年約200万人)を分析。
 その結果、特定保健指導終了者はそれ以外の者と比較すると、各年度、全ての性・年齢階級別で、腹囲、BMI、体重が大きく減少、血糖、血圧、脂質等も改善されたとして、指標ごとの数値データともども、今年4月の第1次中間報告にまとめている。
 今回の報告は、特定保健指導への参加が生活習慣病に関連する保険診療費に与える影響の検証として、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の3疾患から関連する合併症に移行する前段階の治療(主に投薬)に要する保険診療費への影響を測るために、NDBのうち、入院外レセプトのみを対象に分析したもの。
 脳卒中、心筋梗塞、糖尿病合併症は発症までに長期間を要する場合が多いことから、今回の分析対象とせず、別途、13~14年度の厚労科研でそれら疾患にかかわる特定保健指導の医療費適正化効果が分析されており、今年度中にその結果が公表される見通しだ。
 今回の報告によると、積極的支援の参加者と不参加者との間に、翌年度に、男性7,030~5,020円、女性7,550~2,590円、動機付け支援参加者と不参加者とでは、翌年度に、65~73歳で、男性6,340~3,630円、女性7,680~5,930円などの差異が認められた。
 したがって、「特定保健指導の、①40~64歳の参加者に対する積極的支援、②65歳以上の参加者に対する動機付け支援について、メタボリックシンドローム関連疾患の医療費への一定の効果が示唆された」とし、4月の報告と合わせ、特定健診・特定保健指導に一定の医療費適正化効果があると評価している。
 ただし、今回の報告結果については、翌年度ではなく当該年度ですでに医療費の差が見られることから、「もともとの健康意識の違いが特定保健指導への参加の有無に現れ、医療費にも影響を及ぼしている可能性に留意が必要」と、条件づきであるとの認識を明らかにした。