全日病ニュース

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社会医療法人の新認定要件と医療法人分割の税制措置を盛り込む

【2015年度税制改正大綱】

社会医療法人の新認定要件と医療法人分割の税制措置を盛り込む

 政府は1月14日の閣議で2015年度税制改正大綱を決定した。社会保険診療報酬に対する事業税非課税と医療法人の社会保険診報酬以外にかかわる事業税軽減措置とともに存続が認められたほか、高額医療用機器の特別償却制度は、対象機器を見直した上で2年延長された。
 新たに、2県にまたがって救急医療等確保事業を行っている社会医療法人、あるいは、へき地診療所への医師派遣等を行なっている社会医療法人にそれぞれ認定要件を設ける場合の現行税制の適用、医療法人分割制度の創設を前提とした税制上の措置と、15年度に見込まれる施策に対する税制が盛り込まれた。
 厚労省の15年度税制改正要望に書き込まれた「個人の健康・予防の取り組みに向けたインセンティブの導入等伴う税制上の措置」や「社会福祉法人制度等の見直しに伴う税制上の措置」は認められなかった。

2015年度厚生労働省関係税制改正の概要(健康・医療関係)

○社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続
○医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続
○高額な医療用機器に係る特別償却制度の適用期限の延長
○社会医療法人の認定制度見直しに伴う税制上の所要の措置
 社会医療法人制度における次の認定要件の見直しが行われる場合に、非課税措置等を引き続き適用等する。
①二都道府県にまたがって救急医療等確保事業を行っている要件について、医療法人の基幹病院が所在する2次医療圏と隣接する市町村に診療所が所在し、相互の都道府県の医療計画に記載されている場合に、その病院が救急医療等確保事業を行っているときは、要件を満たすこととする。
②へき地診療所への医師派遣等に関する要件について、へき地医療拠点病院への医師派遣及び当該拠点病院からへき地診療所への医師派遣等が純増で年間106日以上実施するときも、その要件を満たすこととする。
○医療法人の分割に関する制度見直しに伴う税制上の所要の措置
 医療法人の分割制度の創設を前提に、資本又は出資を有しない法人については、適格分割の要件判定に当たって、株式継続保有要件を除外する。
○医療に係る消費税の課税のあり方の検討
 〈検討事項〉医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率10%が予定される中、抜本的解決に向けて適切な措置を講ずることができよう、診療報酬に含まれる仕入れ税額相当分を「見える化」することなどにより実態の正確把握を行う。税制上の措置については、こうした取組みを行いつつ、医療保険制度おける手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。