全日病ニュース

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協議の場(地域医療構想調整会議)の運営案が示される

協議の場(地域医療構想調整会議)の運営案が示される

【地域医療構想策定GL検討会】
入院受療率の補正目標案を「現状と著しく変更しないよう調整を加える」と修正

 1月29日に開かれた「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は、前回(12月25日)に続き、「2025年の医療需要の推計方法」について検討。事務局(厚労省医政局地域医療計画課)は、新たに「医療需要に対応する医療供給(医療提供体制)の確定方法及び策定後の実現に向けた取組」に関する考え方を明らかにし、議論を求めた(同検討会12月25日の記事を別掲)。
 「医療需要の推計方法」に関して、事務局は、療養病床の入院受療率に地域差を縮める補正を加えた目標を設定するという前回の案に、「住民や現場が混乱を来すことがないよう、(2025年に向けた在宅医療等整備の)関連施策が実現可能な範囲で調整の考え方を示す必要がある」と、修正を加えた。
 修正は、入院受療率の補正目標設定に関するA案・B案の「いずれの場合であっても、現状と著しく変更することがないよう調整」するというもの。ただし、そうした調整がA案・B案にどう組み込まれるのか、具体的な案までは示されなかった。
 そのため、構成員からは、前回と同様に、入院受療率の補正をめぐる質問と意見が相次いだ。
 入院受療率の地域差に関して、事務局は都道府県の数値は明らかにしたが、A案・B案の主語である2次医療圏の受療率は示していない。西澤構成員(全日病会長)はこの点を指摘し、「2次医療圏の受療率をみないとA案・B案の比較ができない」と、その提出を求めた。事務局は次回の提出を確約した。
 医療需要推計に関して、この日は主に入院受療率をめぐるやりとりに終始したが、遠藤座長(学習院大学経済学部長)は、「データが十分でないために議論が収斂しない」と、議論をさらに継続する必要を認めた。
 新しく提起された「医療需要に対応する医療供給(医療提供体制)の確定方法及び策定後の実現に向けた取組」とは、地域医療構想のGLで「地域医療構想の策定プロセス」と「策定後の構想実現に向けた取り組み」の内容や手順を明確にしようというもの。
 「策定プロセス」は、(1)策定を行なう体制等の整備、(2)必要なデータの収集、分析、共有、(3)構想区域の設定、(4)構想区域ごとの医療需要の推計、(5)医療需要に対する医療提供体制の検討、(6)必要病床数の推計、(7)構想区域の確認、(8)将来のあるべき医療提供体制を実現するための施策の検討、からなる。
 その中で、「構想区域ごとの医療需要を基に必要病床数(病床数の必要量)を推計」する際に、「医療需要に対する供給数(構想区域内の医療機関が入院医療を行なう患者数)の増減を見込む」必要があるとし、患者の流出入推定を“必要病床数”の増減に反映させる必要を説明した。
 こうして確定された推定供給数は病床利用率等をもちいて“必要病床数”に換算される。
 一方、「策定後の構想実現に向けた取り組み」では、まず、「協議の場」(地域医療構想調整会議)で構想の達成に必要な話し合いが行なわれることから、同会議の設置・運営案が示された。
 その上で、各医療機関における自主的な取り組みを、(1)将来目指していく医療の検討、(2)他医療機関の機能選択状況と2025年の機能別必要病床数等から地域における自院機能の位置づけの把握、(3)自主的な取り組みの開始、という3つのSTEPで説明。
 (3)の自主的な取り組みの内容は、①機能ごとの病棟単位の患者の収斂、それに応じた体制の構築や人員配置の検討、②調整会議の協議で、地域における病床機能の分化・連携に応じた自院の位置づけを確認、③以上の取り組みの次年度病床機能報告へ反映、基金の活用の検討など、さらなる自院運営の改善と地域における役割の明確化を図る、と整理した。
 都道府県が行なう取り組みも、①病床機能報告により、現状と地域医療構想の医療需要・必要病床数との比較を行なう、②医療機能ごとに個別の医療機関の状況を整理し、各医療機関が転換の検討に資する資料・データを作成する、③必要に応じて地域医療構想調整会議を開催して医療機関間の協議を進め、不足している機能への対策を検討する(早い段階で各区域の2025年までの整備計画を策定することが望ましい)、④2025年まで毎年検証を行ない、整備計画の変更も含めて地域医療構想の実現を図っていく、と手順化。
 さらに、調整会議については、「地域医療構想の策定段階から設置し、(策定に)関与させることが望ましい」とするとともに、「調整会議に参加する関係者は、医師会、歯科医師会、病院団体、医療保険者を基本とする」と明記した。
 地域医療構想の策定プロセスと策定後の取り組みは初めての提案である上、内容が多いこともあり、引き続く議論となった。
 事務局によると、この日提示された文書がGLの概要となる。医療需要(患者数)の推定とそれを病床利用率で割り戻した“必要病床数”の具体的な数はGLに盛り込まれず、都道府県が算出する数を積にあげた結果が全国の需要と供給の推定値となるという。
 事務局は2月に2回の会合を予定、2月内に報告のとりまとめを見込んでいる。