全日病ニュース

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療養病床に期待される機能を熱く語る

療養病床に期待される機能を熱く語る

【全日病「経営セミナー」第7弾】
「医療区分2以上が80%未満」の20対1病棟創設や20対1以上の評価を求める声も

 全日病の「2025年に生き残るための経営セミナー」の第7弾が、「これからの医療療養病床の役割を考える」と題して、1月22日に本部会議室で開催され、90人が参加した。セミナーの参加者は異口同音に医療療養病床の役割がますます重要となっていることを指摘、その機能をさらに充実させるために取り組むべき課題を相互に確認した。

 開会の挨拶で、西澤会長は「医療必要度の高い慢性疾患や認知症の高齢者はこれからます増えていく。私は、今後も医療療養病床が担っている機能は必要になる」との認識を披露。
 その上で、「療養病床25対1の医療法上の経過措置が2018年3月末で終了する」と指摘。療養病床をめぐる情勢の中で、25対1廃止にどう対応していくかが焦眉の課題となっていることを明らかにした。
 基調講演として、厚労省保険局医療課の田村課長補佐は、療養病床再編以降の診療報酬改定を概括、「療養病棟と障害者病棟、特殊疾患病棟等における長期入院も含めた慢性期入院医療のあり方」が次期改定で大きなテーマとなることを示唆した。
 事例発表を行なった定山渓病院の中川翼院長と光風園病院の木下毅理事長は、それぞれに、自院療養病棟の現状と今後に向けた課題を明らかにした上で、ともに、20対1病棟の入院基本料の施設基準に「医療区分2以上が80%未満」を新設することを提案した。
 10班に分かれたグループディスカッションで、参加者は、医療療養病床として提供してきた医療の具体的な実践例を相互に紹介するとともに、今後に向けた、機能をさらに充実していく取り組みについて言意見交換した。
 参加者は、ますます増加をたどる重度な長期療養患者を引き続き受け入れる中で、可能な限り在宅に戻すという役割が期待されていることを確認した上で、そうした医療療養病床に対する診療報酬等の力強い支援を求めたいと口々に語った。
 グループディスカッションについて総括報告した安藤副会長は、「療養病床に期待される機能は、①療養病床として可能なポストアキュート、②療養病床として可能なサブアキュート、③難病を含む重度な長期療養患者の受け入れ、④きちんとしたリハビリテーション、⑤ターミナルケアを含めた緩和ケア、⑥レスパイト機能を含む在宅支援、⑦認知症患者への対応、に整理できる」と参加者の声を整理。
 その上で、「これらの機能を果たしていくためには、(1)20対1以上を評価するなど成果・実績を反映した診療報酬、(2)キャリアアップシステムなど人材確保ができる仕組みの導入、(3)全国一律ではなく地域や各療養病床の実情を反映した基準の設定などを国に訴えていく必要がある、とまとめた。