全日病ニュース

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介護療養型 新要件「療養機能強化型」の単位決まる。いずれも現行以下

介護療養型
新要件「療養機能強化型」の単位決まる。いずれも現行以下

【2015年度介護報酬改定】
14年介護実調で高い収支差率の介護サービスが大幅引き下げの狙い撃ちに

2015年度の介護報酬が決まった。2月6日に開催された社保審介護給付費分科会は、15年度介護報酬改定にかかわる厚生労働大臣の諮問に、「諮問書の介護報酬単位見直し案を認める」旨答申した。

 実質-4.48%となった新たな介護報酬は、通所介護、特定施設、介護老人福祉施設の下げ幅が著しく、次いで、グループホーム、訪問介護、介護療養型医療施設も単位数を大きく減らした。
 14年の介護事業経営実態調査で高い収支差率を示した介護サービスが狙い撃ちされた。
 その中で、病院・診療所の訪問看護費は6~20単位と、2.3%~2.5%引き上げられた。さらに、訪問看護に看護体制強化加算が設けられた。訪問リハには社会参加支援加算が新設された。
 介護老人保健施設は在宅復帰・在宅療養支援機能加算が21単位から27単位へと増え、入所前後訪問指導加算を組み替えた加算(Ⅱ)は480単位と20単位増える。
 介護療養型医療施設に関しては、重篤・身体合併認知症の患者、一定処置の患者、ターミナルケアの患者の各割合等を新たな要件に加えた「療養機能強化型A・B」という2タイプの評価が新設された。AとBの別は前出患者割合の違いである。
 具体的には、療養型介護療養施設サービス費(Ⅰ)の(ii)と(v・)が「療養機能強化型A」、同(Ⅰ)の(ii・i)と(v・i)、さらに、同(Ⅱ)の(ii)と(i・v)が「療養機能強化型B」の範疇となる。これ以外にも、ユニット型療養型介護療養施設サービス費(Ⅱ)と(Ⅴ・)がA、同(Ⅲ・)と(Ⅴ・Ⅰ)がBに該当する(太字傍点は新設の報酬類型)。
 病院が介護保険施設として存続していくための評価(報酬)カテゴリーというわけだが、いずれも現行単位数を越えることはない。介護療養型の各施設は、報酬水準が下がる中でコストが上積みされる新要件を引き受けるという苦渋の選択を迫られることになる。

□「療養機能強化型」はぎりぎりの報酬― 安藤副会長の談話

 介護療養型医療施設は療養機能強化型のAとBが創設され、存続の道が残された。
 算定要件をみると、医療処置、リハビリ、地域貢献活動の3要件はクリアできるが、認知症とターミナルケアで難儀する医療機関が多いかもしれない。
 点数については、強化型Aを取ったとして、サービス提供体制強化加算や処遇改善加算の増額を得て、トントンを維持するのが精一杯。しかも、介護福祉士の増員や賃金改善が追加コストとして求められる。
 処遇改善は一見朗報であるが、医療療養病床と介護療養病床を有する場合、医療に従事する介護職の賃金改善は自腹で補填している法人も多い。それでも、病院として存続する道を残してほしいというのが、病院経営者の偽らざる気持ちではないか。