全日病ニュース

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将来の医療需要と病床必要量の推計方法で省令案

将来の医療需要と病床必要量の推計方法で省令案

厚労省 地域医療構想策定GL検討会まとめ前に意見募集を開始

 厚労省は、医療介護総合確保推進法に規定された措置のうちの2015年4月および同10月施行事項にかかわる省令案をまとめ、2月16日にパブリックコメントに付した。省令事項は、地域医療構想(新医療法=前出推進法による改正後の医療法)、保険者協議会(同「高齢者の医療確保法」)、看護師等の届出制度(同「看護師等の人材確保促進法」)の3つ。
 このうち、地域医療構想に関しては、①地域医療構想区域の設定基準、②将来病床数必要量の算定方法、③病床機能報告の公表方法、④地域医療構想達成のための措置、などが医療法施行規則で規定される。
 地域医療構想にかかわる省令案の内容は「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で概ね合意されているものだが、検討会のとりまとめ作業と並行した意見募集となった。

地域医療構想関係の省令案(要旨)

(2)将来の病床数の必要量の算定方法
○機能区分ごとの将来病床数の必要量は、構想区域ごとに、病床機能区分ごとの医療需要(性・年齢階級別将来推計人口に機能区分ごとの性・年齢階級別入院受療率を乗じて得た数の合計数)を、当該区域と他区域との間で増減を調整した上で、当該病床の機能区分に係る病床稼働率で除したものとする。
○この場合に、
①高度急性期機能の性・年齢階級別の入院受療率は、医療資源投入量(出来高点数)が、救命救急病棟やICU、HCUに加え、診療密度が高い治療から一般的な標準治療へ移行する段階に相当する点数(※1)以上の医療を受ける患者のうち、当該区域に住所を有する者の性・年齢階級別の延人数を当該区域の性・年齢階級別人口で除して得た数、
②急性期機能の性・年齢階級別の入院受療率は、医療資源投入量が①の点数未満で、かつ、急性期の治療が終了し、投入量が一定程度落ち着いた段階に相当する点数(※2)以上の医療を受ける患者のうち、当該区域に住所を有する者の性・年齢階級別の延人数を当該区域の性・年齢階級別人口で除して得た数、
③回復期機能の性・年齢階級別の入院受療率は、投入量が②の点数未満で、かつ、在宅等でも実施できる医療やリハの密度に相当する点数(※3)以上の医療を受ける患者のうち、当該区域に住所を有する者の性・年齢階級別の延人数を当該区域の性・年齢階級別人口で除して得た数、
とする。
※1 当該段階の患者に行なわれる診療行為の例を参考に具体的な点数を規定する予定。
※2 DPC入院期間のⅡ・Ⅲにおける全疾患の平均医療資源投入量をⅡ・Ⅲの各患者数で加重平均したものにNDBのレセデータも加えて補正したものを参考に、具体的な点数を規定する予定。
※3 当該段階の患者に行われる診療行為の例を参考に具体的な点数を規定する予定。
○慢性期機能に係る性・年齢階級別の入院受療率は、療養病床入院患者のうち当該区域に住所を有する者から回復期リハ病棟入院料の算定患者及び医療区分Ⅰの一定割合の患者を減じた数に、以下の①から②の間で都道府県知事が定める補正率を乗じて得た数に、障害者施設等入院基本料等算定患者のうち当該区域に住所を有する者を加えて得た性・年齢階級別の数を、当該区域の性・年齢階級別人口で除して得た数とする。
①都道府県単位の療養病床入院受療率(※)の全国最小値を当該区域の療養病床入院受療率(※)で除した数
②都道府県単位の療養病床入院受療率(※)の全国最大値を全国中央値(都道府県単位)に低下させる割合を、当該区域の療養病床入院受療率(※)と都道府県単位の療養病床入院受療率(※)の全国最小値の差に乗じて得た数に、都道府県単位の療養病床入院受療率(※)の全国最小値を加えて得た数
※療養病床入院患者のうち、当該都道府県の区域又は当該区域に住所をもつ者から回復期リハ病棟入院料算定患者数と医療区分Ⅰの一定割合の患者を減じて得た性・年齢階級別の数を、当該都道府県の区域又は当該区域の性・年齢階級別人口で除して得た数の合計数(入院受療率)に、性・年齢階級別人口で調整を行なったもの
(5)地域医療構想達成のための措置
○病院の開設、病床数増加や病床種別変更の許可にあたって付す「省令で定める条件」(新医療法第7条第5項)は、当該区域における既存病床数が地域医療構想に定める将来病床数の必要量に達していない病床の機能区分に係る医療を提供することとする。
○都道府県知事が開設者・管理者に説明を求めることができる「省令で定めるとき」(新医療法第30条の15第4項)は、①協議の場における協議が調わないとき、②都道府県知事から求めがあった病院等が協議の場に参加しないこと等により当該協議を行なうことが困難であると認められるとき、とする。
○都道府県知事が、構想区域における病床機能区分に応じた既存病床数が将来病床数の必要量に達していない医療を提供すること等必要な措置を、開設者・管理者(医療法に定める公的医療機関等に限る)に指示することができる「省令で定めるとき」(新医療法第30条の16第1項)は、①協議の場における協議が調わないとき、②都道府県知事から求めがあった病院等の開設者・管理者が協議の場に参加しないこと等により当該協議が困難であると認められるとき、③協議が調った事項を関係者が履行しないとき、とする。