全日病ニュース
「平均稼働率を高度急性・急性・回復各期の病床数で傾斜的に配分」
「平均稼働率を高度急性・急性・回復各期の病床数で傾斜的に配分」
病床必要量推計に用いる機能ごとの病床稼働率。全国部局長会議に提示
厚生労働省は2月23日に全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)を開き、都道府県の医政担当者に2015年度の重要施策を説明した。
冒頭の挨拶で、山本副大臣は「15年度中に介護の人材確保に関する総合施策を打ち立てる」ことを明らかにした。
医政局所管の施策に関しては、土生総務課長が、この4月に施行される地域医療構想の策定、10月に施行される看護師の特定行為研修制度、15年度執行から介護分が加わる地域医療介護総合確保基金、通常国会に提出する医療法改正法案などの概要を解説した。
地域医療構想には2025年の病床必要量が明記される。その推計方法について、同省はすでに、「医療機能ごとに将来の医療需要(1日当たりの入院患者数)を算出し、それを病床稼働率で割り戻す」案を示している。
この病床稼働率について、この日の資料には、「出来高算定病院の平均病床利用率○%を基本として、医療機関全体の当日退院患者分を勘案して○%を加えて病床稼働率とし、高度急性期、急性期、回復期の病床数で傾斜的に配分」すると記述された。
この病床稼働率に関して、2月12日の地域医療構想策定GL検討会で、厚労省は「回復期を90%と設定し、それをもとに急性期と高度急性期に割りつけると、高度急性期は75%、急性期は78%となる」案を提示したが、どういう根拠でそれぞれの病床稼働率が導かれるかまでは説明していない。
資料に記された「(各機能区分の)病床数で傾斜的に配分」するという記述を踏まえると、“病床数”とは2025年の“あるべき病床数”であり、したがって、きわめて政策的な病床稼働率の設定とみることができる。
その地域医療構想は、これまで医療計画という病床規制策で終わっていた都道府県にとって、機能別に効率的な病床配置を可能とする有効なツールとなり得る。
土生課長は「国保運営の中心となることも含め、都道府県の役割はますます重要となる」と述べ、各都道府県の担当者に、新たに手に入れる権限と責任に対する自覚を促した。
基金に関して、土生課長は、どういう計画で提供体制改革や人材確保等を進めて行くか「2025年までの工程表を作成してほしい」と要請。その上で、「15年度の基金は、病床機能分化・連携を推進するための基盤整備事業に重点化していく」考えを明らかにした。