全日病ニュース

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国保法等改正法 医療費適正化計画に医療費目標。超過時は必要な措置

国保法等改正法
医療費適正化計画に医療費目標。超過時は必要な措置

【医療保険部会】
入院時食事代引上、大病院受診時定額負担、患者申出療養は16年4月施行

 2月20日の社保審医療保険部会に、事務局(厚労省保険局総務課)は、通常国会に提出する国民健康保険法等一部改正法案の骨子を報告した。
 改正法案は国民健康保険法、健保法、船員保険法、高齢者の医療確保法の各一部改正からなり、高齢者の医療確保法には、全国医療費適正化計画と都道府県医療費適正化計画に計画期間(6年間)の医療費水準目標を定め、目標を著しく上回る場合は必要な対策を講じるという規定が書き込まれる。
 入院時食事代の段階的引上げ、紹介状なしの大病院受診時の定額負担、医療費適正化計画の見直し、患者申出療養の創設はいずれも2016年4月1日の施行となる。
 事務局は、また、国保の見直しに関する国と地方(国保基盤強化協議会)の協議結果を報告。国保運営の財政主体となる都道府県に様々な財政支援、インセンティブ、政策ツールを与える方向性を明らかにした。
 したがって、今回の医療保険制度改革は、都道府県に国保運営の責任主体を引き受けさせるとともに、効率的な医療提供体制を導く地域医療構想とそれと整合する医療費適正化計画の策定によって、医療費水準と病床数の目標・工程、そして必要な措置の権限を付与するものとなる。

社保審医療保険部会「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」(要旨) 2月20日

1. 国民健康保険の安定化
・国保への財政支援の拡充により財政基盤を強化する。
・2018年度から、都道府県が財政運営の責任主体となり、国保運営に中心的な役割を担う。
・都道府県と市町村に国保事業運営協議会を設置する。都道府県は国民健康保険団体連合会に加入することができる。
2. 後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
・被用者保険者の後期高齢者支援金に段階的に全面総報酬割を実施する。
3.負担の公平化等
①入院時の食事代に調理費が含まれるよう段階的に引上げる(低所得者、難病・小児慢性特定疾病患者は除く)。
②特定機能病院等は、必要に応じて患者の病状に応じた適切な医療機関を紹介する等の措置を講じるものとする(紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入)。
③標準報酬月額の上限額を引き上げる。
4. その他
③医療費適正化計画の見直しと予防・健康づくりの促進・全国医療費適正化計画に計画期間における医療費水準目標を定め、目標を著しく上回ると認める場合は必要な対策を講じる。
・都道府県は、地域医療構想と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を都道府県医療費適正化計画に設定する。
・保険者の保健事業に、予防・健康づくりに関する被保険者自助努力への支援を追加する。
④患者申出療養を創設する。
(施行期日は2018年4月1日。ただし、3及び4の③④は16年4月1日)



国保基盤強化協議会「国民健康保険の見直しについて(議論のとりまとめ)」の骨子 2月12日

○2015年度から保険者支援制度を拡充(約1,700億円)、17年度以降はさらに国費を毎年約1,700億円投入、毎年約3,400億円の財政支援で財政基盤を強化する。
①精神疾患、子どもの被保険者数、非自発的失業者等自治体に責のない要因に対する財政支援の強化
②医療費適正化に向けて努力している自治体を支援する「保険者努力支援制度」の創設
③財政リスクの分散・軽減のために財政安定化基金を創設
④著しく高額な医療費に対する医療費共同事業への財政支援の拡充
○18年度から都道府県が国保運営の中心的な役割を担う。
(1)都道府県の業務
・都道府県内の統一的な国保運営方針の策定
・国保運営協議会の設置
・医療給付費等の見込みを立て、市町村ごとの分賦金の額を決定
・市町村が参考とするための標準保険料率等を算定・公表
・不正請求事案における不正利得回収等、市町村の事務負担の軽減 等
(2)市町村の業務
・保険料の賦課・徴収と分賦金の都道府県への納付
・個々の事情に応じた資格管理・保険給付の決定
・保健事業(レセプト・健診情報を活用したデータ分析に基づくデータヘルス事業等)
・地域包括ケアシステム構築のための医療介護連携等
○改革により期待される効果
①地域医療構想を含む医療計画の策定者である都道府県が国保の財政運営にも責任を有する仕組み ⇒これまで以上に良質な医療の効率的な提供に資する。
②財政安定化基金も活用しつつ、一般会計繰入を解消。
③標準システムの活用や統一的な国保運営方針等により、市町村事務の効率化と標準化
○今後も国保基盤強化協議会等で国保制度全般について検討、所要の措置を講じる。