全日病ニュース

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社会福祉法人制度改革案まとまる。通常国会に改正法案を提出

社会福祉法人制度改革案まとまる。通常国会に改正法案を提出

【社会保障審議会福祉部会】
財務規律の確立と地域社会への貢献を具体的に提言。行政の関与も強化

 2月12日の社保審福祉部会は社会福祉法人制度改革案を提言にまとめた。
 社会福祉法人に、①公益性・非営利性の徹底、②公益財団法人等と同様のガバナンスの強化と透明性の確保、③財務規律の確立と地域社会への貢献を求めるもので、余裕財産の地域公益事業への投入、地域における公益的な取り組みの責務、指導・監査等行政関与の強化などの措置案が盛り込まれた。制度創設以来の大改革となる。
 改革案は社会福祉法改正法案にまとめられ、3月上旬をめどに通常国会に提出される。厚労省は併せて、制度改革実施に向けたガイドライン等の作成作業を進めるとしている。

社会保障審議会福祉部会報告「社会福祉法人制度改革について」(要旨) 2月12日

●理事の義務と責任を法律に明記する。理事長を代表権を有する者として位置づけ、権限と義務を法律に明記する。理事会を法人の意思決定機関に位置づけ、その権限を法律に明記する。理事等に対する特別背任罪、贈収賄罪が適用される法制上の枠組み規定を整備する。
●評議員会に理事等の報酬や選任・解任等重要事項の議決権を付与、かつ、評議員の権限・責任を法律に明記する必要がある。
●監事の権限とともに、理事会への報告義務、監査報告の作成義務や監事の責任を法律に明記すべきである。
●一定の法人に会計監査人による監査を義務づける必要がある。対象は、①収益10億円以上(対象を段階的に拡大)②負債20億円以上のいずれかに該当する法人とすることが適当。
●すでに役員報酬総額や役員報酬基準を含む書類の閲覧が義務化されているが、新たに、定款、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準を公表することを法令上位置づける必要がある。また、すでに通知で指導している現況報告書(役員の親族等との取引内容を含む)も、役員区分ごとの報酬総額を追加の上、閲覧・公表することを法令上明記することが必要である。
●適正かつ公正な支出管理として、特に、①適正な役員報酬を担保するための役員報酬基準の策定と公表等、②特別の利益供与の禁止と関連当事者との取引内容の公表、③会計監査人の設置を含む外部監査の活用(再掲)に取り組むことが必要である。
●役員報酬等は定款の定め又は評議員会決議で決定する必要がある。理事、監事、評議員に対する報酬等の支給基準を定め、公表することを法律で義務づけることが必要。役員等の区分ごとの報酬総額(職員給与・賞与としての支給を含む)を公表するとともに、個別役員等の報酬額(同)は所轄庁への報告事項とすることが必要。
●特別の利益供与を禁止する規定を法令上明記することが必要である。
●注記事項で開示対象となる関連当事者の範囲に、①当該法人を支配する法人もしくは当該法人によって支配される法人又は同一の支配法人をもつ法人、②評議員及びその近親者、に係る要件を加えることが必要。関連当事者との100万円を超える取引を現況報告書及び現行社会福祉法人会計基準における財務諸表の注記事項とすることが必要である。
●社会福祉法に、支援を必要とする者に無料又は低額料金により福祉サービスを提供することを社会福祉法人の責務として位置づけることが必要である。
●社会福祉法人が保有する全財産(貸借対照表上の純資産から基本金と国庫補助等積立金を除いたもの)を対象に、当該財産額から事業継続に必要な最低限の財産(控除対象財産額)を控除した財産(負債との重複分は調整)を導き、これを福祉サービスに再投下可能な財産額として位置づけることが適当である。
●控除対象財産額は、①社会福祉法に基づく事業に活用している不動産・設備等、②事業の再生産に必要な財産、③必要な運転資金を基本に算定することが考えられる。その詳細な内容は、制度実施までの間に専門的見地から検討の上、整理する必要がある。控除対象財産額は、ガイドラインに従い、使途を明記した財産目録及び「控除対象財産計算書」を作成し、所轄庁に毎年度提出することが必要である。
●控除対象財産額を算定し、内部留保から控除した結果、再投下可能な財産額(再投下財産額)がある法人は、①社会福祉事業等投資額(利用者負担の軽減措置や小規模事業への投資額を含む)、②「地域公益事業」投資額、③他の公益事業投資額の順に検討の上、再投下計画を作成する必要がある。
●「再投下計画」は、評議員会の承認を得た上で、公認会計士又は税理士の確認書を付して所轄庁の承認を得ることが必要である。
●社会福祉法人に対する立入検査等に係る必要な権限規定を整備するとともに、勧告・公表の規定を整備することが必要。その際、一定要件を満たす、適切に対応している法人には定期監査実施周期の延長や監査項目の重点化等を行なう仕組みを導入することが適当。
●社会福祉法人の合併は評議員会の議決(特別議決)事項とするとともに、必要な規定を整備することが必要である。