全日病ニュース

全日病ニュース

検討すべき点や今後の作業課題を残す新型法人

▲常任理事会で調査結果を報告する安藤副会長

【慢性期医療に関するアンケート結果】

医療療養病床
25:1廃止に8割が反対。しかし2/3は転換予定先を決める

介護療養病床約9割が「病院」の継続を希望。65%が転換予定なし・未定

 全日病の「慢性期医療検討プロジェクト」は、平成27年度末に経過措置終了を迎える医療療養25:1病床の現状を把握するために、「慢性期医療に関するアンケート調査」を昨年10月に実施した。併せて、障害者施設と特殊疾患病棟の状況、地域包括ケア病棟への転換についても簡単なアンケートを行った。
 10月時点で療養病床を有する1,339の会員病院に調査票を送付、478病院(35.7%)から回答があった。
 25:1の医療療養病床をもつ115病院の入院患者像をみると、病床数6,608床、入院患者数6,100名、病床利用率92.3%、平均年齢81.7歳、医療区分2と3の合計が57.9%だった。超重症児(者)準超重症児(者)は4.3%、慢性期維持透析は1.3%にとどまっている。
 退院経路をみると、在宅復帰率は60%に達している。リハビリの内容は、脳血管疾患が51.2%と過半を占めており、機能を維持するためのリハビリが主体とみられる。
 25:1の「廃止」には79.1%が反対としているが、2/3の病院は転換予定先を考えている(「未定」と「無回答」の合計は33%)。転換先としては、医療療養病床(20:1)、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟の順だった。
 次に、障害者施設入院基本料を算定している69 病院へのアンケートでは、10:1が69.6%と大半で、病床利用率は89.6%。患者病態は、重度肢体不自由者46.3%、重度意識障害者17.7%、超重症児(者)準超重症児(者)17.5%となっている。
 特殊疾患病棟入院料を算定している32病院における特殊疾患病棟の病床利用率は82.8%。患者病態をみると、超重症児(者)準超重症児(者)29.0%、人工呼吸器3.8%だった。
 回答のあった全478病院に地域包括ケア病棟への転換をたずねたところ、届出済18.6%、届出予定21.3%と、約4割が転換という結果になった。届出を行わない理由としては、「算定要件を満たせない」「医師、看護師を集められない」「データ提出が困難」など、基準面でハードルが高いという声が多かった。
 慢性期医療と同時に、「廃止」から「再編」の方向に進むことになった介護療養病床に関しても、現状を把握するためにアンケート調査を実施した。昨年10月時点で介護療養病床を有する390の会員病院に調査票を送付、177病院(45.4%)から回答があった。
 介護療養病床数10,451床に対して入院患者数9,569名と、病床利用率は91.6%となっている。入院患者の平均年齢は84.8歳と高く、要介護度は4と5で89.37%に達している。認知度も日常生活自立度Ⅲ~Mで84.1%に達している。医療処置は、経鼻栄養・胃ろうが57.4%と多い。退院先は死亡が34.9%と高いが、自宅と介護施設の合計も32.3%ある。
 次に、機能に関するアンケートのうち、「最も対応が適している」「対応できる」の合計で、特別養護老人ホームと老人保健施設よりも介護療養病床が優れていたのは、「看取り」「医療的管理」「嚥下機能訓練」「経管栄養」「夜間急変時」であった。
 看取りは94.1%と可能なケースはすべて対応していると推察される。医療的管理の対応は9割近くに達するが、対応不適が11.8%あった。嚥下機能訓練は76.4%。経管栄養はほぼ100%。夜間急変時対応は85.3%。医師が常駐していることが大きいとみられる。
 一方、他施設対比で介護療養病床が劣っていたのは、「認知症」「認知症合併症」「リハビリテーション」「在宅復帰機能」「ショートステイ」であった。認知症と認知症合併症は療養機能強化型の要件項目であるが、アンケートでは6割強しか対応できていなかった。
 リハビリも88.7%あるが、他施設比では不十分である。在宅復帰機能については、老健>介護療養>特養の順と妥当な結果となったが、介護療養病床としても改善の余地があるのではないか。ショートステイについては53.9%にとどまり、全施設で最低となっている。
 今後の形態としては、「病院」を希望する回答が9割前後に達した。転換に関しては、「予定なし」と「未定」で65%となった。転換先としては、医療療養病棟、転換老健、回復期リハ病棟の順だった。