全日病ニュース

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二川医政局長 「地域医療構想のGLは今年度内に必らず示す」

二川医政局長
「地域医療構想のGLは今年度内に必らず示す」

【全国医政関係主管課長会議】
北波地域医療計画課長
「15年度の基金は分化・連携事業を優先して採択する」

 厚生労働省医政局は3月10日に全国医政関係主管課長会議を開催、都道府県の担当者に15年度の医政関係重要施策について説明した(4面に関連記事)。
 冒頭に挨拶した二川医政局長は、「医療介護総合確保基金は法定の制度であり、当面続く。消費税引上げの延長で、(医療の分は)15年度は前年度と同額になったが、来年度は、その(増額の)確保に努めてまいりたい」と述べた。
 この4月に施行される地域医療構想策定に関しては、「予定より少し遅れているが、必ずや今年度内にガイドラインを示すことをお約束する」と言明。
 また、10月施行の看護師の特定行為研修制度に言及、「特定行為はとくに在宅の分野で求められる。看護師にはぜひ研修に参加してほしい。都道府県には研修施設の確保に取り組んでいただきたい」と強調した。
 さらに、施行時期を10月に迎える医療事故調査制度についても、「省令、告示、通知を示すとともに、ガイドラインも早期にまとめたい」と意欲を表わした。
 この医療事故調査制度について、総務課の担当官は、省令案を3月にパブコメにかけて年度内に公布、告示・通知事項も年度内に示し、4月以降に、それらにかかわる指針の策定を進めるという当初スケジュールを示した上で、「検討会の協議がまだまとまらず、日程は予定より少し遅れる」ことを認めた。

「全国医政関係主管課長会議」における主な発言

□地域医療計画課 北波課長
●地域医療構想のGLは間もなくまとまる。それに続いて省令・通知を出すので、それに基づき、4月より策定作業に入っていただきたい。都道府県における作業を支援するために、策定に使うデータ分析等に関する研修会を、6月~10月にかけて3回開催するので、積極的な参加をお願いしたい。
●15年度の基金には介護の分が加わった。県の基金としては1つだが、国からの交付金としては別であるため、双方の流用はできない。ただし、双方に流用できる執行の方法を調整してつくるので、追って通知する。
 15年度の医療分の配分は、機能分化・連携のための基盤整備事業に重点的に配分する。都道府県は、基盤整備の将来の事業量を見込んで2025年までの工程表を作成してほしい。そうした中長期の展望の下、工程表に沿って毎年度の計画を作成していただく。(その最初として)15年度は分化・連携の事業を優先して採択する。
●耐震改修促進法一部改正法の施行によって、3階以上および床面積5,000m2以上の病院は15年12月末までに耐震診断を受けることが義務化された。未了の病院には耐震診断を受けるよう指導をお願いしたい。
●厚労省は終末期という表現を「人生の最終段階における医療」に変えた。都道府県においても、公文書や広報等で、この名称を使っていただきたい。
□医療経営支援課 佐藤課長
●医療法人の非医師理事長については一定条件の下で認可できるとされてきたが、14年6月閣議決定の「規制改革実施計画」で、「医師または歯科医師以外の者が不当に門前払いされる事態があれば当該自治体に改善を促す」とされた。したがって、各都道府県には、一定の要件を設けてこれを満たさない場合は門前払いをするなどの取り扱いをすることなく、候補者の経歴等を総合的に勘案して認可の判断をするようお願いする。この件でいくつかの都道府県と個別に相談しているが、十分にご検討いただきたい。
 なお、昨年の臨時国会に提出され、廃案となった特区改正法案の中で、医師以外の者を理事長に選出する際の要件を法令上明記し、基準を満たす場合は迅速に認可することが検討された。この法案は今国会に再度提出されるので、ご留意いただきたい。
●医療法人の国際展開に関しては、昨年の医政局長通知で、現地法人に出資する際のルールを明確にした。なお、厚生労働省は、医療法人がどのような国際展開にかかわる業務を行なっているか情報を蓄積していきたいと考えている。当該医療法人からは毎年報告をいただくことになっているが、都道府県におかれても、積極的な情報提供をお願いする。
●医療法人の経営の透明性確保とガバナンス強化のために医療法を改正し、「一定規模」以上の医療法人に、会計基準の適用と外部監査および計算書類の公告を義務づける。「一定規模」をどうするかは、ただ今、検討中である。
●昨年6月に成立した独立行政法人通則法改正法等がこの4月に施行される。これに伴い、国立病院機構の職員は非公務員となる。
 国立病院機構に対する国の運営交付金は、現在、国期間分の退職給付費用や臨床研究事業費用等に限定されており、11年度より、救急を含む診療事業には交付されていない。国立病院機構は、診療事業に関しては、診療収入や地方自治体からの補助金等で運営されており、一般の医療機関と変わりがない。
 小児救急医療支援事業等に対しては補助金が交付されている例が見受けられるが、救命救急センター運営事業等には交付されていない例も見受けられる。都道府県におかれては、国立病院機構が地域医療にさらに貢献することができるよう、ご配慮をお願いしたい。
 15年度より、国立病院機構の看護師等養成所に対しても運営交付金による財源措置を行なわないことになった。基金を活用することが可能とされており、併せて、ご配慮願いたい。
●独立行政法人年金・健康保険福祉整理機構(RFO)を改組して昨年4月に発足した独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)は、医療計画の5事業やリハビリテーション等で地域の医療介護を担っているが、JCHO法によって、原則として国からの運営交付金は公布できない。このため、都道府県が行なう補助事業等に該当するものについては、引き続きご配慮願いたい。
 JCHOの各病院は、各地域で開催される協議の場に積極的に参加することにしている。