全日病ニュース

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「全国一律ではなく、地域の視点からビジョンを考えるべき」

【「保健医療2035」策定懇談会】

「全国一律ではなく、地域の視点からビジョンを考えるべき」

 20年後の2035年を見据えた保健医療政策の骨太のビジョンを打ち出すことを目的に、厚生労働大臣の私的諮問機関として設置された「保健医療2035」策定懇談会の第2回会合が、3月9日に開催された。
 この日は、3つのグループに分かれて、①医療の質と効率をどう図るか、②予防と健康に関する施策のあり方、③わが国医療のグローバル化をテーマに自由討論が行なわれた。
 懇談会には塩崎厚生労働大臣も参加、各グループを回って意見に耳を傾けた。
 グループ討論では、エビデンスにもとづく医療の質の測定、sin tax(煙草など健康に有害な商品に対する課税制度)、予防に対する報酬を含む健康・予防にかかわるインセンティブ、食の考え方を見直す必要、国際的に活躍できる人材の育成、公衆衛生に関するノウハウの輸出など、色々な案が語られた。
 出席者には地域やコミュニティの視点から保健医療を考えていくべきとの問題意識も強く、全国一律の制度に頼るのではなく、地域地域の実情に即した施策や制度運用を図るべきとの声が多くあがった。
 事務局(政策統括官付社会保障担当参事官室)は「次回からはビジョンの大枠を固める議論にしていく」との考えを示したが、6月のとりまとめまで議論の時間は決して多くない。しかも、「20年後を予測するデータが乏しく、現時点で確たる資料も人口動態の推定しかない」(小野崎事務局長)という問題もある。
 高齢社会のニーズと医療費の問題を踏まえ、若手の有識者がどこまで斬新なビジョンを打ち出せるか、注目される。