全日病ニュース

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地域医療構想策定が施行。関係政省令、告示、GL示さる

地域医療構想策定が施行。関係政省令、告示、GL示さる

【地域医療構想】
「将来の病床数の必要量の算定方法」の具体的な計算式が明らかに

昨年6月に制定された医療介護総合確保推進法に規定された「地域医療構想の策定とその実現のために必要な措置」が4月1日に施行された。

 施行に伴い、同省は3月31日に「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」がまとめた地域医療構想策定ガイドラインを公表するとともに、GL策定を告知する同日付の医政局長通知(医政発0331第53号)にGLと医療提供体制の確保に関する基本方針の一部改正を添付し、各都道府県知事に、指定都市、保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等への周知を要請した。
 併せて、同構想策定にかかわる政省令を3月31日付で公布するとともに関係事項を告示(いずれも4月1日施行)。同日付で地域医療構想策定を含む推進法の一部施行を伝える医政局長通知(医政発0331第9号)を都道府県知事宛に発出し、関係政省令・告示の周知を求めた。
 政省令・告示のうち、平成27年政令第138号(整備政令)は地域支援事業など介護保険法施行令の改正を中心に関係政令を整備。平成27年厚生労働省令第57号(整備省令)は地域医療構想にかかわる医療法施行規則の改正等を規定。
 さらに、平成27年厚生労働省告示第194号(公表方法告示)は病床機能の報告事項を細かく定め、同告示第198号は「医療提供体制の確保に関する基本方針」(告示第70号)に「地域医療構想に関する基本的な事項」と「地域における病床の機能の分化及び連携並びに医療を受ける者に対する病床の機能に関する情報の提供の推進に関する基本的な事項」を追加し、改正した。
 また、医政局長名による推進法の一部施行通知は、慢性期機能を含む「将来の病床数の必要量の算定方法」を、具体的な計算式を使って明らかに説明している。

都道府県を対象に地域医療構想の研修会を開催

 厚労省は、地域医療構想の策定を開始する都道府県に対して、策定に必要なデータの提供を順次進める方針だ。
 およそ夏までにはデータ提供が完了する見込みで、各都道府県における構想策定作業は夏以降本格化するとみられる。
 同省は、また、都道府県の職員を対象に、構想策定を支援する研修会を6月から9月にかけて実施する。
 地域医療構想策定ガイドラインを基に、各種データの分析と活用の方法、構想策定の留意点、構想実現にいたる過程に求められる施策、地域医療構想調整会議など医療関係者等との連携などが研修のテーマとなる。
 厚労省は、都道府県の医療計画策定を支援するために、13年度から「医療計画作成支援データブック」の配布と研修会を実施しているが、地域医療構想の策定についてもデータブックの提供を行なっている。
 研修会では、DPCやレセプトなどNDBのデータ等から各構想区域の問題点を抽出し、それをどう課題にしていくかが行政に求められている。
 都道府県に示されるデータは概ね調整会議にも提供される。したがって、同じデータから、都道府県と市区町村あるいは医療関係者等がどう課題と目標を共有していけるかが、研修会の主題となる。

医療・介護情報の分析・検討WG  医療費適正化計画が俎上に

 将来の医療需要の推計とそれにもとづく医療費目標の設定について検討している「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の医療・介護情報の分析・検討WGは3月31日の会合で医療費適正化計画を俎上にのぼらせた。
 これまで検討してきた2025年の医療需要と病床の必要量に関しては、前回(3月11日)に厚労省が最終的に固めた推計方法を了承。それを軸とする地域医療構想策定GL案は、親会議である専門調査会が3月17日の会合で了承している。
 このため、WGは、その推計方法を用いて、現在、2025年の医療機能別の需要と必要病床数の都道府県別・2次医療圏別の算定を進めている。
 その一方で、今国会に提出されている「国民健康保険法等の一部改正法案」の高齢者医療確保法改正事項には、2016年4月1日施行の事項として、医療費適正化計画に「計画期間における医療に要する費用の見込みに関する事項」を記載することを国と都道府県の義務とすることが盛り込まれている。
 一部改正法が成立すると、国と都道府県には、地域医療構想と整合性をもった医療費目標を盛り込んだ第3期医療費適正化計画(本来は2018~23年度)を前倒しで策定し、実施することが求められる。
 したがって、WGは、前出の需要と必要病床数推計値を5月をめどに算定した後は、それをもとにした医療費の見込額を導き、省令あるいは大臣告示として各都道府県に示すことになる。