全日病ニュース

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次期改定に向け、湿布薬の保険給付に一定の上限を検討

【規制改革会議の健康・医療WG】

次期改定に向け、湿布薬の保険給付に一定の上限を検討

 規制改革会議に付設された健康・医療ワーキンググループは、4月7日の会合で、市販品類似薬の保険給付のあり方の見直しに関する論点を整理し、以下の検討課題を確認した。
(1)健保連の調査結果を踏まえ、まずは湿布薬に関し、保険給付に一定の上限を設けることや第一世代湿布薬の保険適用のあり方について、検討すべきではないか。
(2)健保連に調査結果で「一般用医薬品としての利用も可能と考えられる」とされた候補成分について、スイッチOTC化を検討すべきではないか。
 健康・医療分野及び保育分野に関する規制改革事項の検討を行なう健康・医療WGは、選択療養制度の原案をまとめた後も、今年6月の規制改革会議答申に向けて、精力的な議論を重ねている。
 この日は、前回(3月19日)に実施された健康保険組合連合会のヒアリングを踏まえ、市販品類似薬をめぐる検討の方向性を固めた。
 その内容が、「湿布薬の保険給付に一定の上限を設けること」と「一般用医薬品としての利用も可能な成分のスイッチOTC化」の検討というもの。
 ヒアリングで、健保連は、①市販品類似薬のうち第一世代湿布薬を保険給付から除外すべきである、②湿布薬について、処方枚数等に一定の上限を設定すること(湿布薬処方の標準化)も検討すべきである、③セルフメディケーションを推進するためにスイッチOTC化を進めるべきである、と提言している。
 スイッチOTC化について、健保連は、「医療用医薬品の有効成分のうち一般用医薬品としての利用も可能と考えられる候補成分検討調査報告書」(日本薬学会)から、OTC候補のうち4分類6成分を対象に推計した結果、「対象医薬品をOTCに移行した場合、日本全体で約1,500億円の医療費削減効果が見込める」と提起している。
 市販品類似薬の保険給付制限は、すでに、2012年診療報酬改定で「すべてのビタミン製剤について単なる栄養補給の目的での投与は算定不可とする」ことが、14年改定では「入院中の患者以外の患者に対するうがい薬の単独処方については、処方料(処方せん料)、調剤料、調剤基本料(調剤技術基本料)、薬剤料が算定できない」ことが実現されている。
 いずれも、行政刷新会議や行政改革推進会議による「事業仕分け」の結果を反映したもので、今回の規制改革会議の前出方針も確定すれば、中医協の審議を経て、16年度診療報酬改定に反映される公算が強い。