全日病ニュース

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民間議員「社会保障と地方財政が歳出改革の重点分野」

民間議員「社会保障と地方財政が歳出改革の重点分野」

【経済財政諮問会議】
20年度のPB黒字化へ5ヵ年の歳出改革を提案。財政健全化計画に盛り込む方向

 経済財政諮問会議は、6月末に策定する「骨太方針2015」に2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化を達成するための財政健全化計画を盛り込むべく、「経済再生と両立する財政再建」を旗印に、「歳出改革」というテーマで検討を重ねている。
 5月12日には、その総論について議論し、(1)社会保障と地方財政を歳出改革の重点分野とする、(2)公的支出の抑制を実現するために公的分野の産業化やインセンティブ改革等を強力に進めていくことなどで合意。次回以降、各論の議論を進めることを確認した。
 同日の諮問会議に麻生財務大臣は「財政健全化計画の枠組み」を提示した。
 その論理は概ね以下のとおりだ。
①安倍内閣の3年間で歳出抑制に取り組んだ結果、対GDP比1%程の歳出削減が実現でき、15年度のPB赤字半減目標を達成した。
②しかし、政府の中長期試算によると、今後の歳出はこれまでの実績を大きく上回って伸長する見通しであり、このままでいくと20年度は9.4兆円のPB赤字となる。
③ただし、これまでの歳出改革を今後5年継続し、この間と同程度の歳出増加額に抑えることができれば、大幅な歳出削減を行なわなくてもPB赤字はほぼ解消できる。
 この日の諮問会議に、民間議員の4人は「財政健全化計画策定に向けた論点整理(総論)」を提示し、「『経済・財政一体改革』を今後5年間の計画の基本方針とすべき」と進言した。
 その中で、インセンティブが十分働く「結果の平等を常に保障する仕組みから頑張る者を支える」仕組みにするために、各領域でインセンティブ改革を推進することを提案した。
 論点整理(総論)で、民間議員は、20年度まで5ヵ年の財政健全化計画において、最初の3ヵ年(16年度~18年度)までを集中改革期間として経済・財政一体改革を集中的に進め、中間の18年度に指標をもって達成状況を評価、必要な場合には歳出・歳入の追加措置を検討すべきと提案した。
 社会保障関係予算の大きな部分を担う医療・介護改革は18年度の同時改定が節目となる。
 地域医療構想は18年度以降に本格的推進の局面を迎えるが、18年度から国保の財政運営が都道府県に移行するとともに、医療・介護のダイナミックな連携を反映した医療計画と介護保険事業計画が、そして、医療費目標を記載した医療費適正化計画がそれぞれ施行される。
 民間議員の提案は、直接には20年度のPB黒字化に向けて、18年度までに必要な改革を進め、18年度以降、さらに追加的な改革を実施するというものだが、これは同時に、2025年に向けた医療・介護改革の工程とも密接にリンクするもので、この提案が政府の財政健全化計画に盛り込まれると、医療・介護改革は、国の財政改革という上位目標に具体的に位置づけられることになる。
 諮問会議の議論では「今後も続く高齢化を考えたとき、歳出抑制は20年度以降も継続する必要がある」との指摘も出ており、医療・介護改革は、長期的に歳出改革の柱として位置づけられるのは必至の情勢だ。