全日病ニュース

全日病ニュース

強化型不算定の場合は年間453万単位(約4,700万円)もの減収

【●2病院でAとBを算定― 一部病床の医療療養と地域包括ケア病棟への転換を検討】

強化型不算定の場合は年間453万単位(約4,700万円)もの減収

要件解釈の変更を評価。今後は病棟単位での算定を希望

一般財団法人仁風会京都南西病院理事長 清水 紘

 一般財団法人仁風会は、京都市内に、嵯峨野病院(京都市右京区)と京都南西病院(京都市伏見区・135床うち介護療養病床59床)と介護関連4事業所を開設・運営しており、特に、嵯峨野病院は専ら入院を主とする病床数180床全床介護療養型医療施設である。
 両病院とも、介護療養病床の入院患者の平均年齢は85歳、平均要介護度4.8以上であり、重介護の患者を多年にわたり受け入れている。また、両病院とも病床稼働率は99%以上である。

算定要件に対する現場の意見

 本年4月に実施された介護報酬の改定では介護療養型医療施設に療養機能強化型の報酬体系が新設され、療養機能強化型A、B、その他(従来型)の3類型に分類された。
 療養機能強化型が算定できなかった場合は、要介護度5では1日69単位5.23%の減となり、嵯峨野病院では年間453万単位、約4,700万円の減収が予測される(表1を参照)。
 算定にあたっては病院単位であることとの規定がされており、病床数の多い病院にとって算定条件を満たすことは極めて厳しいことが予測された。今後は病棟単位での算定が求められるところである(表2を参照)。
 また、申請にあたっては算定日前3ヶ月の実績が求められたが、27年1月からのデータが必要となるため、整理のための猶予期間を定めての実施が望まれるところであった。

自院の選択そして介護療養病床存続への願い

 4 月28日に公表された解釈通知で、「喀痰吸引」と「経管栄養」の両方を実施している場合には2人と算定でき、実施回数や日数についても要件を設けないなどの算定条件が示された。
 また、療養機能強化型の基本サービス費の算定に係る取り扱いについて提出期限の延長が認められ、京都市内の場合には5月10日までとなった。
 そのため、京都南西病院は強化型A、嵯峨野病院は強化型Bをそれぞれ申請し4月に遡及して受理された。この解釈通知は介護療養病床の実態をよく理解したものと評価したい。
 診療報酬上に医療区分の解釈が導入されたのは平成18年の改定時であるが、今回の療養機能強化型の算定はさながら医療区分の再来を思わせる。
 この条件を明確に理解し、定着するまでに要する期間内に「介護療養型医療施設廃止」の時期を迎えるのではないかとも危惧するが、何としても廃止は阻止しなければならないと考えている。また、存続するのであれば「病院」として存続することが必要なのは言うまでもない。

病院運営の今後の方針

 病院運営の今後の方針としては、嵯峨野病院については少なくとも1病棟60床を医療療養病床への転換を検討したいと考えている。この数年来入院患者の医療区分を調査しているが、2・3に該当する患者の比率から転換可能と判断できる。
 京都南西病院については、ハードルは高いものの、一部病床の地域包括ケア病棟への転換を模索中である。