全日病ニュース

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全日病 介護・医療の対応能力について情報提供の改善課題を提言

全日病
介護・医療の対応能力について情報提供の改善課題を提言

 2014年度老人保健康増進等事業として全日病が実施した「サービス付き高齢者向け住宅における介護・医療ニーズへの対応能力に関する評価手法に関する調査研究」の報告書がこのほど完成した。
 入居可能なサ高住は全国に4,083棟(2014年7月)あるが、そのうちの2,500棟に調査票を送り、1,043棟から回答を得た(回収率41.8%)。サ高住に併設された施設・事業所の内訳は、50%強が訪問介護事業所と通所介護事業所、39.9%が居宅介護支援事業所で、病院、一般診療所、歯科診療所は20%弱であった。
 サ高住における介護・医療ニーズへの対応の実態を踏まえ、報告書は、入居を希望する高齢者に対する情報公表システムに欠けている介護・医療関連情報を明らかにするなど、改善すべき課題を提言している。
 報告書の要旨は以下のとおり。
◎日中に毎日医療職がいるサ高住は22.4%にとどまるが、これに介護職員を加えると77.0%となる。夜間は66.6%のサ高住が夜勤職員を配置しており、宿直の配置を含めると85.2%にのぼる。ただし、夜間に毎日医療職がいるサ高住は7.7%、併設施設を含めても15.9%にとどまる。
◎主として介護職が提供するサービスは住棟内もしくは併設施設が提供している住棟が多く、医療職が提供するサービスは外部サービスを利用する住棟が多い。
◎80%以上のサ高住が要介護5でも新規入居・居住継続が可能としている。新規入居・居住継続が可能と回答したサ高住が少ないのは「人工呼吸器の管理」や「痰の吸引」が必要な居住者である。
◎急病人が生じた際の対応内容をあらかじめ取り決めている住棟は、平日日中・夜間・休日のいずれも60%~70%である。看取り期にある居住者への対応(41.9%)、入院を要する居住者発生時の病床確保(31.3%)を具体的に取り決めている住棟は半分に満たない。
◎以上から、サ高住への入居を希望する高齢者がニーズを満たす住宅を選択できるためには、客観的でわかりやすい指標等に基づく住宅間の相互比較結果を公表することが有効と考えられる。そこで、サ高住の現在の情報公表システムに以下の点を追加するよう提言する。
①医療・介護サービスの提供の有無・具体的内容
②要医療・要介護・認知症等に関する状態像別の受け入れの可否と受け入れ実績
③「容体が変化した場合の相談」「入院の必要が生じた際の病床の確保」「看取りの発生」等場面ごとの医療機関のサポートの有無と対応内容、サポートを提供する医療機関名