全日病ニュース

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「全日病に入るといい病院になれる」との確信が支部活動を支える

▲群馬県支部は看護師の講習会に力を入れている(2014年8月)

「全日病に入るといい病院になれる」との確信が支部活動を支える

病院の質向上に資する研修会に注力。とくに看護師対象の講習会が好評

 美原盤氏は2003年に、県医師会長を兼務していた鶴谷嘉武氏(故人)から受け継いで、群馬県支部長に就任した。
 爾来12年、会員数も現状維持から増勢に転じるなど、支部の強化に努めてきた。
 群馬県支部の会員数は25病院。群馬県の病院数は131(2015年3月現在)で、そのうちの26が国公立を含む公的病院、残る105病院が民間病院だ。民間病院における組織率は24%にとどまっており、組織拡大の余地は大きい。
 群馬県は県病院協会の存在がきわめて大きく、県医師会との緊密な連携の下、県とは太いパイプを保っている。
 日病、医法協、日慢協など他病院団体も独自の基盤をもつ中、病院団体に伍して会員増強を図るのは決して容易なことではない。
 一般社団である群馬県病院協会は前出鶴谷氏等が奔走して1998年7月に設立された。県内の各病院団体から理事への参加を得ているほか、県内を地域ブロックに分け、各ブロックの代表的な病院の管理者も理事に登用、まさにオール群馬の病院団体だ。
 県医師会と共同歩調をとり、群大附属病院とも共同活動を組むなど、群馬の病院界を主導。比較的後発ながら、会員数は121病院と県内全病院の92%を占める“ガリバー型”の存在となった。
 県からの情報提供や意見聴取は県医師会と精々県病院協会どまりで、個々の病院団体には届かないという。もっとも、昨年の医療介護総合確保基金基金では、県病院協会ですら、当初は相手にされなかったようだ。
 「何も話がこないので県に問い合わせたら医師会には情報提供したという。
 で、県病院協会に話がきたのは事業案の締め切り直前でした。それで協会の会員に振ったところ、意外なほど多くの案が直接県に寄せられたのです。ところが、県が当初予定した事業は箱ものばかり、しかも、病院団体との協議もない。それにも意見を申し上げたところ、ようやく関係団体のヒアリングが実現したという始末でした。しかし、結局決まった事業は、公的中心の、前々から予定されていたものばかりで、会員病院の案は採用されませんでした」強力な県医師会とその後塵を拝する県病院協会の“二頭体制”に、美原支部長は忸怩たる思いでいる。

日病とも共同で地域包括ケア研修会を開催

 群馬県支部の現状について、美原支部長は「役員会の機能が弱いかもしれない。会議も年2~3回ほどしか開いていない」と反省の弁を述べた。もっとも、役員の間はメーリングリストでつながっているので、いつでもコミュニケーションはとれているという。
 メーリングリストは支部の全会員をつなぐルーツでもあるが、書類の郵送に頼る会員も少なくなく、その活用はまだマックスにはいたってない。
 美原支部長は早くから全日病の活動に参加し、医療の質や提供体制のあり方などで様々なデータや情報に接し、また、多くのネットワークを得てきた。他方、専門病院の立場から自院のデータや情報の発信に努め、データを踏まえた意見表明も積極的に行なってきた。
 こうした活動が評価されて中医協傘下のDPC評価分科会の委員にも就任、全日病においても、第3回定時総会(6月20日)の役員改選を経て副会長に就任するにいたった。
 美原支部長は「私は全日病で大変いい経験を重ねてきた。これは自院の経営に大いに役立ちました」と自らを振り返った。
 「私は全日病に入るといい病院になれると信じています。その機会を支部の会員にも提供したいのです」―この思いが今の支部活動を支えているという。
 「現在、各病院が欲している情報は、1つが地域包括ケアと地域医療構想。
 もう1つがどうすればいい病院になれるかです。前者は地域全体の今後の行方、後者は自分の病院の行方にかかわる問題です。これを可能な限り支部でやりたいと考えています」「全日病も本部研修が大変充実している。しかし、地方がそのすべてに参加することはできない。また、支部会員ならではの講師リクエストもある。
 それをかなえるのが我々支部の研修会です」例えば、この2月には日病と共同で地域包括ケアに関する研修会を開催。
 5月には支部単独で「高次脳機能障害の概念と看護」の研修会を実施している。
 とくに看護師を対象とした講習を重視しており、「看護管理者のためのマネジメント研修」は3回目を昨年12月に開催、「看護管理者のためのコーチング(2)」に100人を集めた。
 看護協会による案内を得ているほか、ツイッター等も利用し、支部会員以外の病院からの参加も募っている。
 「まずは看護師に関心をもってもらい、参加してもらう。そうすれば病院長も関心をもってくれます。支部会議のときに同時開催すると会員先生の会議出席率は確実にあがります」と笑う。
 「一生懸命頑張る病院は会員になる可能性がある。だから、我々は、いい病院になるための講習会を重ねたり、必要な情報を提供して、地域の病院を支援していく。これが結果として支部会員につながるのです」と美原支部長は断言。
 「毎回本部から送られる『全日病ニュース』もちゃんと地域の未加入病院に配布していますよ」と付け加えた。