全日病ニュース

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「病棟群単位の入院基本料」が1位項目。72時間規定の見直しも

「病棟群単位の入院基本料」が1位項目。72時間規定の見直しも

【2016年度診療報酬改定】
日病協が改定要望の第1弾。「重症度、医療・看護必要度」の再検討も求める

 日本病院団体協議会は「入院基本料の病棟群単位での選択性導入」など10項目からなる2016年度診療報酬改定で実現を求める要望事項をまとめ、7月3日に、猪口雄二診療報酬実務者会議委員長(全日病副会長=写真右側)が宮嵜雅則医療課長(写真左側)と面談の上、提出した。

 今回の10項目は、16年度改定に向けた要望の第1弾となる。要望事項は、診療報酬実務者会議において、日病協を構成する12団体から集めた現行診療報酬の見直し課題を集約する中で、最大公約数というべきものを抽出するかたちでまとめられた。
 日病協は、今後も見直し点の追加要望を行なう予定で、今回の要望項目を、中医協の審議に早期に取り上げるべき最優先事項に位置づけている。
 その中で「病棟群単位の入院基本料」を1番にあげ、各病棟群内で看護師の傾斜配置を可能とすることを求めた。
 入院基本料に関連して、永年の要望である「看護職72時間ルール」に加え、新たに「重症度、医療・看護必要度」の各見直しを提起。
 前改定で新設された「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」の評価に関しては急性期対応を出来高払いとすること、同じく、前改定で見直された「処置・手術の休日・時間外・深夜加算」についても、算定を困難にしている病院勤務医の負担軽減・処遇改善に係る要件を緩和することを求めた。

日病協 16年度改定の要望事項(要旨)

(1)入院基本料の病棟群単位での選択性導入
 単独もしくは複数の病棟で病棟群を設定し、病棟群ごとに最適な入院基本料算定をできるようにすること。その際、病棟群内での看護師数傾斜配置も可能とすべきである。
(2)看護職の夜勤72時間ルールの見直し
 開始から10年となる次期改定で、72時間ルールのあり方や今後の方向性、制度撤廃等について、柔軟かつ十分な議論がなされることを要望する。
(3)入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」の見直し
 現行の評価項目は急性期の病状を必ずしも反映していない。また、高度急性期、急性期、回復期等の病床機能は患者像が異なるため、一律の項目による運用は本来の病床機能と異なる評価となってしまい、各病床機能向上の弊害となる可能性が高い。病床機能と患者病態像を加味した多くの観点から抜本的に見直すことを要望する。
(4)医療を推進するためのコスト分析及びその反映
 コスト分析手法が確立していないために、消費税の影響など、的確な経営指標を得ることが困難となっている。国の政策として、より精緻かつ多面的なコスト分析が進められることを要望する。また、ICT化を推進するため診療報酬上の評価を要望する。
(5)地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の評価
 急性期の対応(手術、麻酔、輸血、高度な処置等)は出来高払い等に変更することを要望する。
(6)入院中の他医療機関受診時における制度の見直し
 入院中の他医療機関受診時の減額措置を撤廃し、当該入院主病名以外の治療は他医療機関の保険請求を可能とすることを要望する。
(7)医師事務作業補助体制加算の見直し
 全病床種別で算定可能とするよう要望する。
(8)維持期リハビリテーションの継続
 2016年4月1日以降も維持期リハの継続を認めることを要望する。
(9)処置及び手術の休日加算1、時間外加算1及び深夜加算1の施設基準の要件緩和
 施設基準(病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制)の要件緩和を要望する。
(10)調剤薬局の役割の明確化、院内調剤と院外調剤の不均衡是正
 調剤薬局の役割を明確化するとともに、外来処方における院内処方と院外処方の技術料(調剤料等)格差の不均衡是正を要望する。