全日病ニュース

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厚労省が「介護費用の地域差分析」の現況を説明

【専門調査会のWG】

厚労省が「介護費用の地域差分析」の現況を説明

 政府の社会保障制度改革推進本部に付設された専門調査会の医療・介護情報の分析・検討WG(主査・松田晋哉産業医科大学医学部教授)は、7月1日、介護費用の地域差分析について、厚生労働省から現況等の説明を受けた。
 要介護認定率や1人当たり介護給付費の地域差については、「骨太方針2015」で、「(状況を)分析し、保険者である市町村による給付費の適正化に向けた取り組みを一層促す観点から、制度的な対応を含めた検討を行なう」方針が打ち出された。
 しかし、厚労省は現状で給付費の地域差分析ができていないことを認めた上で、第7期(2018年度~2020年度)以降の介護保険事業計画を策定する中で、各保険者による給付費分析を通じて保険者機能の強化を推進する必要があるとして、「現在、給付費にかかわる地域差の分析ツールについて構築を進めている」ことをWGで明らかにした。
 厚労省は、地域差を生じる要素として、①要支援・要介護認定率、②サービス受給率、③サービス利用者1人1月当たりの費用を想定、まずは、第1号被保険者1人当たりの給付月額を全国、都道府県平均と比較する方法を考えている。
 地域差を含む介護保険の費用と供給を含む実態の「見える化」をめざして、厚労省は現在、介護保険総合データベースの構築とその活用ツールの開発に取り組んでいる。
 データベースは要介護認定の状況把握と介護・医療関連情報の「見える化」推進に用いられているが、この「見える化」によって、全国、都道府県、2次医療圏、老人福祉圏、市町村、日常生活圏域別の実態が客観的かつ容易に把握できるようなるとしており、これをベースにした地域包括ケアの「見える化」を実現したいとしている。
 地域包括ケアの「見える化」は今年の10~12月に1次設計の開発を終える予定で、早ければ7月にも1次運用が始まるという。10月からは2次設計の開発に入り、16年度4月からの3次設計・開発を経て、17年度からの3次運用をもって実現する予定だ。
 こうした地域包括ケア「見える化」の試みは、しかし、市町村による現状分析・課題抽出、医療・介護関連計画の実行管理、サービス見込み量等の将来推計の各支援が主たる目的。その中の現状分析・課題抽出機能に「介護費用の地域差分析」を加えるというのが、「骨太方針2015」の要求ということになる。
 この日のWGは、また、2015年医療保険制度改革関連法の成立によって高齢者医療確保法に規定されている医療費適正化計画に、地域医療構想と整合的な「医療の効率的な提供」と「医療費の水準」の各目標を盛り込むことになったことを受け、厚労省から、医療費適正化計画の現状等の報告を受けた。