全日病ニュース

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「九州支部連絡協議会」を発足。陣内福岡県支部長が代表に就任

▲九州支部連絡協議会は7月29日に発足会議を開いた

【報告地域医療構想と支部の取り組み(1) 九州ブロック】

「九州支部連絡協議会」を発足。陣内福岡県支部長が代表に就任

地域医療構想軸に情報・意見を交換。8月に厚労省幹部招いて講演会

長崎県支部長・常任理事 井上健一郎

はじめに

 今春の全日病支部長会の際、九州各県の支部から、地域医療構想の議論が進む中、制度の詳細が分かりにくくて各県支部としての対応が決まっていない、他県の状況はどうなっているか知りたい、隣県との調整が必要なこともあるがまだできていない、などという声があがった。
 その時出席されていた九州各県支部長の先生方の間で、地域医療構想に限らず、九州各県が相互に情報交換、意見交換をできる場を作ろうということになった。
 福岡県支部長の陣内先生のお声がけで、2015年6月1日、九州各県支部長の先生方に福岡市に集まっていただいた。
 その結果、この日の会合を準備会とし、九州支部連絡協議会を7月末に発足させることで各支部の意見が一致した。
 以下に、当会合で得られた各支部の状況について報告させていただく。なお、出席者と議題は次のとおりである(敬称略)。
【出席者】
福岡県支部/陣内重三、江頭啓介、丸山 泉、津留英智
佐賀県支部/古賀義行長崎県支部/井上健一郎
熊本県支部/山田一隆
大分県支部/畑 洋一
宮崎県支部/濱砂重仁
鹿児島県支部/鉾之原大助
事 務 局/行徳直子・高辻伸行
【議題】
①各県の全日病支部の位置づけ、他の病院団体との関わり県行政との関連
②地域医療構想の進行状況
③この会の今後の進め方

各県における支部の位置づけ、他病院団体との関わり、県行政との関連

 病院団体で構成する協議会が開催されているのは福岡、佐賀、熊本、大分県のみであるが、県の医療審議会へは各県とも参画している。地域医療構想への各県支部のかかわりについては以下のとおりである。
●福岡県支部
・地域医療構想への関与/福岡県医師会の地域医療委員会(陣内委員長)にて模擬協議の場を持った
・地域医療構想調整会議は未実施(県議会終了後にスケジュール化)
・データ解析については県内部で実施する予定
・構想区域は基本的には二次医療圏ベースで進めることになる
・地域医療介護総合確保基金については、福岡県は、IT・ネットワークに予算をシフトしている。
●佐賀県支部
・地域医療構想への関与/県地域医療構想調整会議に病院代表として県病院協会から1名参加。
・地域医療構想調整会議(二次医療圏ごとの分科会)を2015年9月に立ち上げ、協議を開始する予定
・隣接県への対応に関しては、東部二次医療圏が福岡と隣接しており、協議や進め方について議論が必要と考えている
●長崎県支部
・地域医療構想への関与/地域医療介護総合確保基金に関する長崎県のワーキンググループが設置され、全日病も構成員となっている。日本病院会支部、県医師会とともに長崎県の地域医療を考える会を2回シリーズで開催予定
・平成27年度地域医療介護総合確保基金については、「地域間医療(介護)連携人材育成」で提出した。
・地域医療構想策定に関しての具体的な進め方は示されていない。
●熊本県支部
・地域医療構想への関与/熊本県保健医療推進協議会で「地域医療構想検討部会(仮称)」の設置を想定しており、全日病も委員に予定されている
・地域医療構想調整会議は未実施(熊本大学が積極的に関与しようとしている)
・データ解析については二次医療圏のデータが既にあるため、既存データで協議する予定
・構想区域に関しては、熊本には11の二次医療圏が存在するが、実態とは大きく乖離するため検討が必要と思われる
・地域医療介護総合確保基金については、医療情報ネットワークシステム構築費用に充てられる予定
●大分県支部
・行政との関わりが強くなく、少しずつ関係性の構築を進めている
・よって、地域医療構想調整会議は未実施
●宮崎県支部
・地域医療構想への関与/「協議の場」の委員として、病院部会と医療法人部会の各会長が参加することになっている
・現時点で地域医療構想調整会議は未実施だが、下部の会議体が今月から動き出す予定(濱砂先生が議長)
●鹿児島県支部
・地域医療構想への関与/県地域医療構想検討委員会委員として全日病が参画する。
・今後の体制及びスケジュールに関しては、県全体については県地域医療構想検討委員会にて実施し、二次医療圏ごとは保健医療圏構想検討会にて実施(8~9月に第1回保健医療圏構想検討会を実施予定)
 県全体として地域医療構想を進める体制ができ、そこに病院団体としてしっかり関与できている県もあるようで、その情報を得ることは有用であった。なお、平成26年度総合確保基金に関して、支部が提出したもののうち、採択されたのは宮崎県のみであった。

今後の進め方について

 地域医療構想が緊々の課題である昨今の状況をふまえ、今後1年間の間は、数ヵ月に1回以上の頻度で会合をもつことになった。
 また、準備会では支部長の先生方中心にお集まりいただいたが、今後は、各支部役員の方々、九州出身の本部役員の先生方にも出席をお願いする予定である。連絡協議会の代表は福岡県支部長の陣内先生に引き受けていただいた。
 以上の経緯で九州支部連絡協議会は発足するが、第1回目の会合は平成27年7月29日(水)に福岡市で開催されることになった。
 また、地理的にも遠い九州地域では、今後もより積極的に本部の動きや関連機関(行政等)からの情報収集を行うべきと考え、研修会等の実施も計画もしている。
 手始めに、8月29日(土)には、厚生労働省の地域医療計画課の佐々木昌弘室長を招き、地域医療構想にかかわる研修会を予定している。九州各支部から多数会員の参加を期待している。