全日病ニュース

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ITの取り組みと「病院食」の考察―それぞれ1日帯でシンポ等を集中展開

ITの取り組みと「病院食」の考察―それぞれ1日帯でシンポ等を集中展開

独創性あふれるプログラム、北海道を味わう懇親会、制服ファッションショーも

徳田 第57回全日本病院学会を北海道支部の担当で9月12日、13日に開催します。北海道での開催は、前回が2004年ですから、11年ぶりということになります。
 医療の世界では大きな制度改革が始まりつつあります。この改革に際して、我々提供者側も自ら変っていかなければならないのではないかという思いがありました。そこで準備委員会で議論し、「イノベーション」をメインのテーマとし、医療関係者の気概を込めて「医の原点を見つめつつ」をサブテーマに掲げました。
 全日病学会のプログラムは、担当支部が企画するいわゆる学会企画と各委員会が受け持つ委員会企画、そして会員病院による演題発表からなります。
 これまでの学会企画を振り返ると医政に関係したテーマが主でした。しかし、1日目に、日医会長と厚労省幹部に続いて全国に多くの顧客をもつ公認会計士の方に制度改革の意味するところをお話いただくことや、委員会企画に医政関係のテーマが多いことから、そちらで議論していただくことにしました。
 そこで、学会企画に関しては、参加者の多くがパラメディカルであることから、その視点からのテーマを考えて北海道学会独自の取り組みにしようということになり、1つは、最新テクノロジーを医療現場にどう反映させていくべきかという内容で、もう1つは、入院患者の評価が低い病院給食を多角的に見直そうという内容で、プログラムを考えました。
 例えば、1日目(9月12日)に、「最新テクノロジーの医療分野への応用」と題した、特別講演、シンポジウム、指定演題(8題)を連続して催し、間に、最新医療ICTをテーマにしたランチョンセミナーまで用意しました。まさに、朝から晩まで同じテーマにつかっていただこうというわけです。
 そうした意味からは、参加者の方々にはこれまでの全日病学会とは違うと映るのではないしょうか。評価いただけるのか、趣味が悪いということになるのか…。(笑) でも、おかげさまで、演題数が地方開催としては最大の691題に達しました。大いなる盛り上がりを期待しています。
大橋 実行委員会としては“おもてなし”をキーワードに運営を考えています。(笑)主催側としては地元をアピールしたいところでしょう。その点、北海道はよく知られているところですから、それよりは、来場者一人一人に「来てよかったな」と思ってもらえるにはどうしたらよいかという点に重きを置いた演出をしたいと思っています。
 そこで、1日目の市民公開講座に、『北の国から』の脚本で知られる倉本聰さんをお招きしました。北海道の代表的作家であり、「富良野GROUP」という劇団も主宰している倉本聰さんの話を聞いて、ぜひ“倉本イズム”に触れていただきたいものです。
 おもてなしとして考えた企画は2日目(9月12日)にもあります。11時半から第2会場で行なう医療関係者のファッションショーです。(笑)パリコレと同じようなランウェイをつくって、様々なモデルに制服を発表してもらいます。今後どういう制服を取り入れるか、ひとつ参考にしていただければと思っています。
徳田 これまでやられてなかった指定演題ですが、今回、認定看護師の取り組みというテーマで募集したところ、我々の予想を超える演題数となったため、10題を4つのセッションに分けて催すことができました。2日目の午後に行なわれます。
 691題を数える一般演題も、なんとか部屋が確保できたので、ポスターセッションは止め、すべて講演というかたちでやっていただきます。
大橋 1日目の夜の懇親会は、それこそ、「ああ、これが北海道の料理、北海道のワイン、北海道のお酒なんだ」と、北海道の食を十分堪能していただけるようにしたいと考えています。
 食ということでは、病院給食を中心にした企画として、2日目に、特別講演を2 つ、パネルディスカッションを2 つ、さらに、指定演題として10題を組んでいますが、ここでも、実際に体験していただけるよう、ランチョンセミナーも含め1日通したものを色々と考えています。
 そういう意味で、いかにしたら、わざわざ北海道に来てよかったなと思って帰っていただけるかと、日夜頭をひねっています。(笑)

地域医療構想、医療事故調査、特定行為研修、地域包括ケア病棟等と、喫緊のテーマが目白押し

徳田 委員会企画では、やはり、地域医療構想に関するシンポジウムが目玉ではないでしょうか。それと地域包括ケア病棟を取り上げたプログラムも見逃せません。いずれも1日目にあります。
大橋 10月に施行される特定行為研修制度と医療事故調査制度に関するシンポも来場者にとって関心大といえるのではないでしょうか。毎年、現実的なテーマを語る若手経営者育成事業委員会の経営戦略議論も激しいものになることでしょう。
徳田 病院のあり方委員会の企画にも注目してください。地域医療構想に関連する医療提供、ICTの現場応用、産業としての医療の3つに絞りましたが、2025年の医療提供の姿をめぐる議論と提言がなされます。今年中に発刊を予定している「病院のあり方報告書2015年版」を手がけてきた者として傾聴に値すると断言できます。(笑)
大橋 プライマリ・ケアにおける多職種の活躍もあれば病院女性事務職のキャリアアップをとりあげるセッションもあり、まさに、聞きたいテーマが目白押しです。(笑)
徳田 全日病の委員会活動はますます活発になっていますから、委員会企画はどれも聞きごたえのあるプログラムといえます。広報や危機管理に関しても最新の取り組みが議論されます。全国の会員病院から複数の職員で参加いただき、手分けして豊富な情報を収拾してお帰りいただきたいものです。9月12日、13日はぜひ札幌まで足を運んで下さい。