全日病ニュース

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全日病 医療事故調査制度で指針を作成。会員に配布、HPで公表

全日病
医療事故調査制度で指針を作成。会員に配布、HPで公表

運用上の留意点を体系的・簡便に整理、医療機関が対応すべき事項をまとめる

 全日本病院協会は8月8日に開催した2015年度第5回常任理事会(写真)で「医療事故調査制度に係る指針」を承認した。「指針」は全27頁からなる。西澤執行部は8月内に冊子化し、全会員に送付するとともにホームページに掲載、各医療機関の参考に供する方針だ。
 「指針」は、10月1日に施行される医療事故調査制度について、医療法の規定と省令・通知事項にもとづいて制度の仕組みと運用上の留意点を体系的かつ簡便に整理、医療機関が行なうべき対応をまとめている。
 作成にあたったのは協会内に設置された「医療事故調査制度に係る指針」検討プロジェクト(プロジェクトリーダー・飯田修平常任理事)で、厚労科研「医療事故発生後の院内調査の在り方と方法に関する研究」(研究代表者・飯田常任理事、平成23年度~平成24年度)の研究班メンバーからなる。
 全日病は、2012年3月に、原因究明と責任追及が混然一体となった医療事故調査委員会の設置構想に反対する立場から「医療事故調査委員会・懲罰委員会に関する提言」をまとめ、原因究明・再発防止の過程と刑事司法による責任追及の過程を分離した上で、「明示的・限定的に定義される」重大事例は医療界が自律的に設置する院外事故調査委員会の医学的調査に委ねるべきと提言、その「明示的・限定的」なケースを例示した。
 「懲罰委員会に関する提言」では、国立大学病院医療安全管理協議会分類レベル3b以上(濃厚な処置や治療を要した)について、院内調査と並行して第3者機関への届け出を推奨するなどの対応を示したが、今回の「指針」は、対象事例を医療事故調査制度の事案に限定している。
 また、「指針」用に本制度の制度概要図を作成するとともに、医療事故調査の流れを「医療事故発生から院内医療事故調査指示まで」と「院内医療事故調査から報告まで」の2過程に分けたチャートを掲載するなど、本制度の全体像を視覚的に表わしている。
 さらに、例えば「医療事故調査の実施概要」で事故発生直後から事故調査委員会設置前後の院内対応について細かく説明するなど、関係者には必携ともいうべき実践的な手引きとなっている。

「医療事故調査等支援団体」として全日病含む36団体を告示

 厚生労働省は、10月1日に施行を迎える医療事故調査制度で、事案が生じた医療機関の相談に乗るとともに院内事故調査に際して専門家の派遣など具体的な支援を担う「医療事故調査等支援団体」として厚生労働大臣が定める団体を告示した。資格は10月1日から適用される。
 告示されたのは全日病を含む36団体・事業者。全日病に関しては「全日本病院協会及びその会員が代表者である病院」と告示されたため、申請した会員病院も支援団体になることができる。
 支援団体の分野別構成は、職能団体が日本医師会など9団体、病院団体等が日本医療機能評価機構など7団体、病院事業者が国立病院機構、日赤、済生会など14事業者、学術団体が「日本医学会に属する学会(内81学会)」「日本看護系学会協議会の社員である学会」など6団体。
 病院団体は四病協の4団体のほか、全国自治体病院協議会、全国医学部長病院長会議の6団体が支援団体として認められた。