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「かかりつけ薬局+健康サポート」で一致したが、具体的機能でまとまらず

▲検討会に臨む安藤副会長(左端)

【報告健康づくり支援薬局(仮称)をめぐる議論】

「かかりつけ薬局+健康サポート」で一致したが、具体的機能でまとまらず

「24時間対応、在宅医療、薬の一元管理」の機能は病院薬剤師が勝ると主張

全日病副会長・「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」構成員 安藤高朗

 平成27年6月4日に第1回「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」が開催された。健康情報拠点としてふさわしい薬局(健康情報拠点薬局=仮称)の定義・名称、基準の策定、公表の仕組みを検討することが本検討会の目的であり、医療提供者として、日本医師会とともに病院団体を代表して私が参加することになった。
 本検討会は9月末までに7回の開催が予定されているが、第4回(8月7日)が終了したので中間報告をさせてただく。
 薬局の呼称について、仮称ながら、当初は検討会名にもある「健康情報拠点薬局」という表現が用いられていたが、分かりにくいということで、第3回から暫定的に「健康づくり支援薬局」を用いることになった。本稿でも同表現を使用することとする。
 「健康づくり支援薬局」に関するこれまでの経緯は以下の通りである。
○日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくりについて、日本再興戦略では、「薬局を地域に密着した健康情報の拠点として、一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を行う等、セルフメディケーションの推進のために薬局・薬剤師の活用を促進する。」と示された。
○「薬局の求められる機能とあるべき姿」の公表について(平成26年1月21日薬食総発0121第1号)薬局・薬剤師に求められる機能に関する基本的な考え方として、厚生労働省医薬食品局総務課長通知は「セルフメディケーションの推進のために、地域に密着した健康情報の拠点として積極的な役割を発揮すべき」との見解を示した。
○平成26年度薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業(予算2.4億円)地域に密着した健康情報の拠点として積極的な役割を担う「健康情報拠点薬局」の整備に向け、平成26年度予算において、薬局・薬剤師を活用したモデル事業(適正使用に関する相談窓口の設置、セミナーの開催、健康チェックを行う体制整備等)が推進された。
○日本再興戦略改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)「日本再興戦略改訂2014」の中短期工程表「国民の『健康寿命』の延伸②」の2015年度の欄に「薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進」と「充実した相談体制や設備などを有する薬局を住民に公表する仕組みの検討」が明記された。
○平成27年度薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進(予算2.2億円)26年度に引き続きモデル事業を実施する他、健康情報拠点としてふさわしい薬局の基準を作成し、住民に公表する仕組みを検討する方針が打ち出された。
 本検討会における第4回までの議論を振り返ると、健康づくり支援薬局の定義は「かかりつけ薬局機能+積極的な健康サポート機能」でほぼ合意を得たものの、かかりつけ薬局とはそもそもどのような機能を有するかという点で繰り返しの議論が行われた。
 その主な意見は以下の通りである。
・薬局の薬剤師は、健康な時も、病気になった時も、お亡くなりになる寸前まで少なくとも薬に係る周辺のことを真摯に努めていかなければならない仕事ではないか。
・地域や門前といった色々な薬局について機能を分けた形で議論した方が市民に喜んでいただけるのではないか。例えば、大病院前の薬局では、麻薬やオーファンドラッグといった希有なお薬をたくさん抱える必要がある。
・かかりつけ薬局はかかりつけ薬剤師のいる薬局であるべき。
・かかりつけ医は患者から電話があったら、すぐに誰なのか脳裏に顔が浮かぶ。一方、薬局の薬剤師はころころ変わってしまい、かかりつけ薬剤師という概念が薬局の中で定着していない。目指すべきはかかりつけ薬局ではなく、かかりつけ薬剤師ではないか。
・かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師としては、その人が健康状態から虚弱になり、最期までの24時間対応も含めた対応が必要ではないか。
・たくさんの薬剤師が勤務している大型店舗では、毎回同じ薬剤師が対応することは難しくかかりつけ薬剤師を持てる薬局が限られるのではないか。
・薬局に多くの医薬品があっても、適切に医薬品を扱える人、相談できる人がいなければ機能しないため、かかりつけ薬剤師は非常に重要。ただし、薬局としてきちんと医薬品を一元的に管理できるような体制がなければいけない。
・24時間対応は、開局時間以外にどう対応するかというのが非常に重要。電話で必ず連絡がつく、その上で必要なときには必要な対応ができる体制が求められる。
・かかりつけ医がやっている程度の対応、例えば、困ったときとかなどに、せめて電話ででも答えられるような対応が求められるのではないか。
・かかりつけ薬局と薬剤師には、ぜひ、在宅医療に対応してほしい。
・在宅において、飲んでいるかどうか、飲めたかどうか、効いたかどうか、副作用が出ていないかどうかということを、主治医の先生と連携しながら、生活の中でみられるような機能を果たすのがかかりつけ薬剤師ではないか。
 こうした議論に対して、私からは、(1)24時間対応、在宅医療、薬の一元管理を小規模な薬局が行うのは困難であり、地域における輪番制の導入、ICTを活用した患者情報の共有化等、工夫を凝らすことが重要ではないか、(2)健康づくり支援薬局に求められる機能は多岐にわたっており、相応のインセンティブが必要ではないか、(3)品揃えの拡充や相談スペースの設置を小規模な薬局に求めるのは負担が大きく、何らかの配慮が欠かせない、といった見解を述べさせていただいた。
 残る3回の検討会で最終答申をまとめることになる。
 医薬分業を推進するための検討会なので難しいのは承知であるが、全日本病院協会としては、病院の薬剤師こそが、24時間対応、在宅医療、薬の一元管理すべてで勝っていることを主張していく所存である。