全日病ニュース

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実調とNDBデータから前回改定の補填状況を把握

実調とNDBデータから前回改定の補填状況を把握

【消費税負担に関する分科会】
消費税10%に向け議論を再開。日医・四病協等が診療報酬「見える化」で試行調査

 中医協に付設された診療報酬調査専門組織の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」が8月7日に1年半ぶりに開催され、消費税の5%から8%への引き上げに対応してとられた前改定における補填措置の実態を捕捉する調査を実施することが決まった。
 事務局(厚労省保険局医療課)は、消費税率の8%への引上げに対応して2014年度改定で措置された診療報酬への補填の方法と内容をあらためて説明。
 その上で、17年4月に予定されている10%への引き上げに向けた対応策を検討する前段階として、自民・公明両党が決めた15年度税制改正大綱に明記された「宿題」があると指摘、その作業に着手する必要を指摘した。
 「宿題」というのは、15年度税制改正大綱の中の「抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を『見える化』することなどにより実態の正確な把握を行う」という点を指す。
 この一文は、“抜本的解決に向けて適切な措置を講じることができるように、個々の診療報酬項目に含まれている仕入れ(原価)にかかっている消費税相当額(分)が分かるようにせよ”という注文にとれる。
 「この分科会で『見える化』を検討するのか」(白川健保連専務理事)という質問に、込山保険医療企画調査室長は「その点はご議論いただきたい」と言葉を濁したが、この問題が診療側に重くのしかかってきている。
 白川委員が「日医で、厚労省と財務省も参加して『見える化』を検討しているようだ」と触れたことから、今村委員(日医副会長)は、「厚労省と財務省も参加して『見える化』に関する委員会をすでに6回開催し、その中で、『見える化』に向けて原価を診療行為別に明らかにすべきとの指摘を受けたため、医師会、歯科医師会、四病協で代表的な診療報酬項目の調査を進めている。9月頃に確定的なものが出る。分科会に報告する」と説明した。
 今村委員が明らかにした委員会とは「医療機関等の消費税問題に関する検討会」のことで、今年3月に「『見える化』の取組みを財務省、厚労省、三師会・四病協間にて行なう」目的で設置され、現在、診療報酬項目と医療機関を限定した、当該診療行為の原価に含まれる課税費用相当分をパイロット的に算出する調査を進めている。
 この調査結果は、参考資料として消費税分科会の議論に供されることになったが、事務局は、それとは別に前回改定で補填した結果がどうなっているかの調査を急いで実施し、11月には報告することを提案、この日の分科会で了承を得た。
 調査は、費用のうち課税経費の消費税相当額と収入のうち診療報酬本体に上乗せされている消費税分を把握するために、現在実施中の医療経済実態調査から、14年4月~15年3月を事業年度とする医療機関等(病院については医業・介護収益に占める介護収益の割合が2%未満が対象)を対象に実施される。
 ただし、医療経済実態調査のデータからは費用のうちの課税経費にかかる消費税相当額、つまり仕入れにかかる消費税分は把握できるが、収入のうち診療報酬本体に上乗せされている消費税分まではつかめない。
 そこで、調査では、収入となった診療報酬の算定項目を把握するために、実調データに加えて「レセプト情報・特定健診等データベース」(NDB)から抽出した算定回数等のデータを使用する。
 5%から8%にあがった前改定時には、実調のデータから費用構造推計を行なって、3%の引き上げが課税経費の消費税相当額を増やす割合は診療報酬収入の0.63%と推計、この分を基本診療料中心に上乗せするかたちで補填が行なわれた。
 しかし、入り(補填額)と出(課税経費の消費税相当額)の差を把握するために、今回の調査は、NDBから調査対象医療機関のレセプトデータを使うことになったもの。
 NDBのデータ使用は「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」の審査を経るなど厳しい条件が課せられている。込山室長は「すでに有識者会議の審査を受け承認をとっている」と説明したが、西澤委員(全日病会長)は情報漏えいの可能性に懸念を示し、その慎重な取り扱いを求めた。
 分科会の今後の議論の行方に関連して、支払側委員は、①10%のときも医療は非課税であるのか、②この場合も診療報酬で補填するのか、③8%時の手当て方法を前提とした議論となるのか、④スケジュールはどうなるのか、とたずねた。
 これに対して、込山室長は、①②④については「今後の税制改正の議論を踏まえつつ検討していくことになる」とし、③つまり補填の方法に関しても「過去改定時の対応を含め、診療報酬の構造の見える化を踏まえたご議論をいただきたい」と述べるにとどまった。
 一方、診療側委員からは、「この調査によって益税や損税の実態が判明する。今の方法が不公平だと判明した場合に対応を何らか変える余地はあるのか」という質問も出た。
 これに対しては、「調査の結果を踏まえて、課税か非課税か、診療報酬における対応としても何らかの工夫がいるかといった議論につながる可能性はある」との認識を表わした。
 17 年4月の消費税10%に対応するためには、16年度の税制改正大綱に何らかの方向性が盛り込まれる必要があるため、分科会は、12月前半までに結論を目指すという厳しい状況におかれている。