全日病ニュース

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高知県が療養病床の現状を説明。構成員から転換モデルの提案

【第57回全日本病院学会in 北海道】

高知県が療養病床の現状を説明。構成員から転換モデルの提案

 医政、老健、保険の3局合同による「療養病床の在り方等に関する検討会」は9月9日に2回目の会合をもち、2人の参考人から話を聞いた。
 1人は高知県健康政策部の川内敦文医療政策課長で、人口あたりの病床数が多く、とりわけ療養病床数は全国平均の3.6倍にも達している背景を「高齢化が全国に先行して進展し、独居の高齢者が多い。家庭での介護力も弱い。
 通院に不便な中山間地域が多いこともあり、病院が、福祉施設の代替として、増加した介護・療養のニーズの受け皿となってきた」と説明。
 2025年における医療機能別の医療需要推計を示すとともに、それを昨年の病床機能報告の結果と単純比較した場合に減床が求められる率を披露した。
 それによると、高度急性期45.3%(全国31.8%)、急性期42.1%(31.1%)に対して、慢性期は、パターンAが65.7%(31.2%)、パターンBでも53.7%(21.7%)と、全国ベースの2.1~2.5倍に達している。
 川内氏は、今秋にも療養病床実態調査を実施し、その結果を踏まえて機能分化・連携の進め方や基金事業等必要な施策を地域医療構想に反映していくと、高知県の方針を明らかにした。
 もう1人の参考人は全国在宅療養支援診療所連絡会の新田國夫会長で、「在宅医療から見た療養病床の役割」と題して、都市型モデルと地方型モデル、在宅療養支援型、住居モデル、在宅復帰モデルとは異なる終末期医療モデルを構築するなど、社会的機能に位置づけられる療養型のあり方を提言した。
 一方、構成員である池端幸彦氏(池端病院院長)は、療養病床から転換するモデルとして、病院内に、看護職と介護職を配置した非医療施設を設ける構想を提起。
 それを、医療包摂の介護保険施設とみなすか、医療外付けの高齢者住宅とみなすかは今後の議論であるとした。
 こうした実態説明やプレゼンテーションを受けたものの、構成員の多くは、さらなる詳細データの提出を求める一方、療養病床が置かれている現状と課題をなぞらう発言が多く、この日の議論は必ずしも深まらなかった。
 その中で、田中構成員(慶大名誉教授)は「現状把握も大切だが、未来から逆算していくことも大切。2025年、30年、40年までを考えると新しい機能や施設を構想していく必要がある。医療と住まいがセットとなることもありえる。
 色々な面から療養病床がもつ機能の組み合わせを考えてはいかがか」と発言、柔軟な発想から様々な選択肢が提示されるべきとの考えを表明した。
 しかし、発言の多くは現行制度や施設の既存類型の枠内にとどまったため、この日の議論は深まらなかった。
 提言は年内にまとめられ、その後、提言に盛り込まれた施策案の実現に向けた検討が、医療保険部会、介護保険部会、医療部会、中医協で展開される。