全日病ニュース

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再入院の調査対象は「計画的」「計画外」に絞り、「予期せぬ」は廃止

再入院の調査対象は「計画的」「計画外」に絞り、「予期せぬ」は廃止

【DPC評価分科会】
再入院日も「4週間以内」に見直し。「治癒」「軽快」の定義は継続議論に

 8月31日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会(写真)は、退院患者調査における退院時転帰と再入院の定義について議論した結果、現行の「予期せぬ再入院」という指標を廃止し、再入院については「計画的」か「計画外」かで判断するという方向で見直すことで合意した。
 「退院時転帰」における「治癒」と「軽快」の定義に関しては、事務局(厚労省保険局医療課)が示した見直し案に委員から対案が出るなど意見が様々に分かれたために、継続議論となった。
 この日の議論は、「治癒」と「軽快」および「予期せぬ再入院」に関するヒアリング(7月27日)の結果を踏まえたもの。
 退院患者調査で、「治癒」は「退院時に、退院後に外来通院治療の必要が全くない、またはそれに準ずると判断されたもの」と、「軽快」は「疾患に対して治療行為を行い改善がみられたもの。
 原則として、その退院時点では外来等において継続的な治療を必要とするものであるが、必ずしもその後の外来通院の有無については問わない」と定義されている。
 ヒアリングでは、この「治癒」の定義に、治癒率がきわめて高いあるいは低い双方の病院から「違和感がある」「定義が分かりにくく院内で徹底・浸透していなかった」などの意見が示された。
 そこで、池田委員(国際医療福祉大学)は、この日の分科会で、諸外国で「治癒・軽快」がアウトカム指標として用いられる範囲は限定的であると報告した上で、「治癒+軽快の割合」を用いることを提案した。
 これを受け、事務局は、(1)「治癒」と「軽快」を合わせて「改善」と定義する、(2)「軽快」を「おおむね治癒」と「軽快」に分ける、という2案を示し、見直しを提案したもの。
 しかし、委員からは「改善という表現に違和感が残る」「おおむねという基準は分かりにくい」といった異論が相次ぎ、「治癒+おおむね治癒で治癒としてはどうか」との対案も示された。
 定義の変更は、過去の調査データとの比較可能性をどう確保するかという問題も生じる。事務局は「少し整理し、あらためて提案したい」と議論を引き取った。
 「再入院」に関しては、6週間以内の再入院である場合に「計画的再入院」「予期された再入院」「予期せぬ再入院」のいずれかを明記することになっているが、「予期された」あるいは「予期せぬ」の解釈に退院時の患者に対する説明の有無や患者による理解・認識の有無が関係するなど、その判断の線引きに曖昧さが残るとの指摘がヒアリングでも示された。
 この点について、池田委員は「諸外国ではもっぱら計画外の再入院がアウトカム指標として重視されている」ことを指摘。事務局は「DPC病棟から退院4週間以内のDPC病棟への計画的再入院と計画外再入院をモニタリングする」ことを提示したところ、基本的に了承された。
 この新たな定義に関して、事務局は、再入院調査における新たな定義は再転棟にも適用する方向で検討する旨を明らかにするととも、「再入院の新たな定義は再入院調査に用いるもので、診療報酬における“ 7日以内の同一病名の再入院は一連として取り扱う”規定とは別物である」との注釈を加えた。
 事務局は、また、2014年度のDPCデータを用いた14年度改定の影響の評価・検証結果を示し、(1)DICでコーディングする際の症状詳記添付のルールの継続、(2)「入院の契機となった傷病名」と同一の傷病による「7日以内再入院ルール」で一連の入院とはみなされていない「詳細不明コード」を一連の入院とすることを提案、いずれも了承を得た。