全日病ニュース

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厚労省佐々木室長招いて「地域医療構想研修会」を開催

厚労省佐々木室長招いて「地域医療構想研修会」を開催

【全日病九州支部連絡協議会】
連絡協議会初の研修活動。福岡県支部と佐賀県支部が地域医療構想の情勢を報告

 全日病九州支部連絡協議会(代表・陣内重三福岡県支部長)は、8月29日に福岡県医師会館で「地域医療構想研修会」(写真)を開催、定員(200人)を上回る会員が参加した。
 厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室の佐々木昌弘室長が「医療法と医療計画と地域医療構想」と題して講演したほか、福岡県支部と佐賀県支部から、地域医療構想策定にかかわる「各県の現状と今後の予定」について報告が行なわれた。
 その後、参加者と講師等の間に質疑応答が繰り広げられ、最後に、猪口雄二副会長が中央情勢の解説をベースに総括的講義を行なって幕を閉じた。
 九州支部連絡協議会は、策定段階に入った地域医療構想に関する各県の情勢を把握することを第1義の目的としつつ、地域医療構想に限らず、支部間の情報と意見の交換を図る目的で7月29日に発足し、その場で今回の研修会が企画された。
 研修会は井上健一郎長崎県支部長の司会で進められ、織田正道副会長が開会の挨拶を行なった後、陣内重三代表が、連絡協議会発足の経緯を含め「研修会」の狙いを説明した。
 そして、10月に、福岡県私設病院協会が厚労省の北波地域医療計画課長を招いた研修会を予定していることを明らかにした。
 続いて、福岡県支部の津留英智氏(全日病医療保険・診療報酬委員会副委員長)と佐賀県支部の古賀義行支部長が地域医療構想策定の動きを中心に自県の情勢を報告した。
 その中で、津留氏は、福岡県は現行2次医療圏を構想区域と仮定、医療圏ごとに設置される調整会議のメンバー構成案を固めていることを明らかにした。
 その上で、10月から始まる調整会議と構想策定会議を軸に構想案がまとめられるとして、隣県との協議、構想区域の確定を含む同県の策定過程を詳しく紹介。同時に、策定における同県の課題や模擬調整会議や研修会など県医師会を中心とする医療側の取り組み状況を説明した。
 続いて登壇した厚労省の佐々木室長は、地域医療構想に関する都道府県研修会で用いた資料を使って構想の考え方と策定プロセス等ガイドラインの内容を詳しく解説。併せて、病床機能報告の改善など、今後の検討課題を紹介した。
 講演で、佐々木室長は、「地方にはローカルルールがある場合がある。また、厚労省の考え方が正しく伝わっていない可能性もある。地域医療構想に関しては他県との情報交換に努めていただきたい」と述べる一方、「医療法改正で知事権限が強化されたというが、実は、まったく強化されていない。ましてや、すでにある病床を取り上げるということはまったくない」などの例をあげ、流布されている情報や誤解に惑わされないよう、正確な理解と冷静な対応を求めた。
 医療機能区分に関しては、「定量的指標の開発が必要といってきたが、例えば、高度急性期の3,000点という目安が経営コンサルタントの商法に使われていることを考えると、本当に定量的指標がいいのかということも含め、次年度以降の報告に向けた検討課題の議論を秋以降進めていく」との展望を示した。
 最後に登壇した猪口副会長は、総括的講演で医療機能区分を取り上げ、患者ごと、したがって病床単位でみた区分はあるが、それが1つに収斂して病棟単位の区分として現出するという論理に疑問を唱えた。
 次に、療養病床の2025年必要病床数を取り上げ、「必要病床数には介護療養や25対1の18年3月末廃止も反映されている。この1~2年の間にどう対応すべきか、全日病としても情報を発信していきたい」と述べた。
 その上で、「療養病床は重要な社会的資源である。削減しなければということで使わなくしてしまうのはもったいない。活用の方法を真剣に考えたい」との意向を明らかにした。