全日病ニュース

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旺盛な活動を反映、多彩な委員会企画

旺盛な活動を反映、多彩な委員会企画

地域包括ケア病棟、院内事故調査、看護師特定行為研修、病院におけるプライマリ・ケア等で情報収集・意見交換

 北海道支部の担当で9月12日・13日に札幌市で開催された「第57回全日本病院学会in 北海道」(徳田禎久学会長)は、各委員会が直面する課題を俎上にのぼらせる委員会企画に、時宜にかなったテーマが出揃った。
 医療保険・診療報酬委員会の「地域包括ケア病棟について」では、全日病が厚労省から得たNDB(特定健診等とレセプトからなるデータベース)のデータセットから調べた亜急性期入院医療管理料の分析結果が発表された。NDBデータの分析研究は病院団体では初めての事例となる。
 このセッションで、神野正博副会長は、中医協傘下の「入院医療等の調査・評価分科会」が16年度診療報酬改定に向けた入院医療実態調査の検討結果を詳しく説明。16年度改定で、地域包括ケア病棟入院料における手術料外出しの是非が議論される見通しを明らかにした。
 神野副会長は、また、「重症度、医療・看護必要度をより急性期医療にふさわしく見直すことが確実だが、厚労省は、7対1における患者割合要件を現行の15%から17%に引き上げる可能性がある」と予測した。
 シンポジストの仲井培雄氏(芳珠記念病院理事長)は、地域包括ケア病棟について独自の機能論を展開し、その積極的な活用を提唱した。
 従事者委員会企画の「病院における事務職―経営陣に加わる要件とワークライフバランスへの対応」では3人の女性事務長が登壇。病院経営者と共通する視点に加えて、とくに家庭をもつ女性のニーズであるワークライフバランスの導入と実践という従事者の視点を経営に生かすことの重要性を訴えた。
 医療の質向上委員会企画「院内事故調査制度について」は、事故当事者に対する事情聴取の進め方、医療安全管理や情報システムなどの院内体制、事故発生直後から報告作成にいたるマネジメントと、院内事故調査のあり方について詳しい解説を行なった。
 10月施行となる医療事故調査制度との関係について、座長の飯田修平常任理事は、「医療事故調査制度は“医療に起因して”と“予期せぬ”の2条件が満たすものを対象としているが、医療法改正で医療安全管理が義務とされている現在、院内事故調査は対象かどうかということとは別にやらなくてはならないということを確認いただきたい」と述べ、注意を喚起した。
 病院のあり方委員会は、「病院のあり方に関する報告書2015版」を分担執筆中の講師3人が、①ICTの医療分野への応用、②産業としての医療、③地域医療構想を越えた医療提供体制をテーマに、それぞれの見解を述べた。
 ②を担当した神野副会長は、地域における連携は統合が鍵となるとの認識を示した上で、「マクロ的には、今、垂直統合・垂直連携が求められている。
 しかし、地域では水平統合を追求中であり、この両方が必要である」と述べるとともに、水平と垂直の統合・連携の推進によって「今や、病院の品質から地域の品質が問われる時代に入っている」との認識をあきらかにした。
 プライマリ・ケア検討委員会企画の「病院におけるプライマリ・ケア強化のための他職種連携のあり方」は、他(多)職種連携を院内から院外へと広げていくことがプライマリ・ケアの強化につながるとの認識の下、他(多)職種連携を支える教育・講座の実例とその考え方などを詳しく紹介した。
 看護師特定行為研修検討プロジェクト委員会による「看護師特定行為研修制度」のセッションは、厚労省の岩澤和子看護課長から同制度の詳しい解説を受けた。
 「2025年には10万人に研修を受けてほしい」と語る同課長は、「研修を修了した看護師が自院に何人必要か考えてほしい」と医療機関に積極的な養成を呼びかけ、その研修体制として、「共通科目は指定研修施設だが、区分科目は協力施設で受けることもできる」ことからとくに協力施設を増やす必要があるとし、「できれば2次医療圏に1つほしい」との見解を明らかにした。
 シンポジストの星北斗星総合病院理事長も「10万人の育成を達成するためには2次医療圏に1つ以上の研修施設が欠かせない」ため、「一定規模以上の医療機関は引き受けるべきだ」と提案しつつ、315時間という研修時間がネックとなるとの懸念から、「全日病にはぜひeラーニングを作ってほしい」と要望した。
 座長を務めた神野副会長は、全日病として、①研修指導者講習会の開催、②手順書の作成と公開、③指定研修機関に対する支援(共通科目のeラーニング化)を手がけていることを明らかにした上で、「会員病院、なかでも臨床研修施設には、ぜひ指定研修機関に手上げしてほしい」とアピールした。

▲開会式

▲サ高住の介護・医療ニーズへの対応状況

▲医療法人

▲医療法人制度改革と2025年に向けた医療法人の経営戦略

▲よさこいソーラン

▲札幌市立幌西小学校合唱団

▲SAPPORO Medical COLLECTION

▲閉会式