全日病ニュース

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構成員から病院併設型住宅・病床転換型住まいの提案

構成員から病院併設型住宅・病床転換型住まいの提案

【療養病床の在り方等に関する検討会】
土屋常任理事「医療の質、患者、病院経営者、医療従事者等の面からも検討すべき」

 10月9日に開かれた「療養病床の在り方等に関する検討会」に、事務局(厚生労働省保険局医療介護連携政策課)は、「さらにご議論いただきたい事項(骨子)」と題した文書を提出し、年内とりまとめに向けた議論の具体化、加速化を促した。
 文書からは、下記諸点のように、医政、老健、保険3局が共有しているとみられる現時点の視点がうかがえる。
(1)医療療養(25対1)と介護療養の経過措置は2017年度末まで。具体的な改革の選択肢を整理する必要がある
(2)主に医療療養(20対1)が担っている比較的医療の必要性の高い患者に対する機能は引き続き維持する。
(3)比較的医療の必要性が低く、介護ニーズを併せ持つ方々に看取りやターミナルケアを中心とした長期療養と一定の医療処置を実施する機能も確保していく必要がある。
(4)こうした観点を踏まえ、現状の療養病床の施設・設備を活用するなどの新たな選択肢を考える。その際、療養病床からの転換が容易(施設整備等に多額の費用を要さない)なこと、医療費の適正化に資すること、低所得者にも配慮したものであることが必要。
(5)上記を踏まえると、「医療」「介護」「住まい」の機能を組み合わせた新たな選択肢を検討してはどうか。例えば、①要介護度は比較的低いが一定程度の医療が必要な、自宅等での生活が困難な人向けの医療と住まいが組み合さった機能、②要介護度が高く、一定程度の医療が必要な人向けの長期療養を支える機能、③一定程度の医療が必要な人向けのショートステイなど在宅療養を支援する機能などが考えられる。
(6)その際に、法的な位置づけや人員配置と施設の基準など制度上の枠組みについても、新しい類型を含めて複数の選択肢を検討する。
 事務局のこうした問題提起に応えるかのように、この日は構成員から「病床転換型の住まい」が提案されるなど、一歩踏み込んだ議論が展開された。
 構成員からは、医療区分1の要介護度の高い患者を想定した上で、①25対1の一部を「病院併設型の住宅」に向けてはどうか、②(サ高住の併設といった)「医療+住まい」に対して「(既存医療施設の)敷地・建物に手を加えて住まいとする」考え方があるなど、具体的な施設類型が提案された。
 ①の「病院併設型住まい」にしても、②の「病床転換型の住まい」にしても、現実的には、転換に要する費用の発生だけでなく、利用者負担の増加、経営展望の不安、病院からの撤退に対する抵抗感など様々な問題が生じる。
 転換型老健の失敗を想起したとき、十分に慎重な検討が求められるところだ。
 こうした点について、全日病常任理事の土屋繁之構成員は、医療費抑制一辺倒の議論ではなく、医療・ケアの質を落とすことなく、病院が健全に運営され、医療従事者の生活が守られるような検討をつくし、関係者が納得のゆく方策を打ち出さないとうまくいかないとする意見を述べ、性急な結論出しを戒めた。