全日病ニュース

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財務省「民間医療機関への転換命令等」知事権限拡大へ、医療法改正を提起

財務省「民間医療機関への転換命令等」知事権限拡大へ、医療法改正を提起

【財政制度分科会】
2020年度までの改革工程案に盛り込む。次期病床報告時の機能区分定量基準も

 財務省は10月9日の財政制度等審議会財政制度分科会に「経済・財政一体改革の改革工程」案を示した。
 6月の「骨太方針2015」には2020年度までの改革工程を今年末に策定することが明記され、「経済・財政再生計画」において、社会保障分野の検討事項として7分野44項目が、そのうち「医療・介護提供体制の適正化」には11項目14事項があげられている。
 財務省主計局が示した改革工程案は、この検討事項ごとに検討・実施時期と検討・実施の方向性を具体化したもの。同省は経済財政諮問会議の専門調査会(経済・財政一体改革推進委員会)がまとめる改革工程に反映させるとともに、16年度予算編成にも反映させ、改革工程初年度として実現を図っていく考えを明らかにした。
 改革工程案は、検討事項を、A(実施段階にある項目)、B(15年度中に行なうものが含まれる項目)、C(16年度予算案関連の項目)、D(検討時期・実施時期を今後検討し、明らかにしていく項目)に分類。
 このうち、B事項にはKPI(指標)の早急な設定が、検討・実施時期が未定のD事項に関しては改革の方向性や実施時期等の具体化が必要、と提起した。
 「医療・介護提供体制の適正化」において、B事項には医療費適正化計画と外来医療費の適正化(一部はD事項に位置づけ)が、D事項には「高齢者医療確保法第14条の活用」「病床再編や地域差是正に向けた都道府県の体制・権限の整備」「慢性期の医療・介護サービスに対応するサービス提供体制」等があげられている。
 高齢者医療確保法第14条とは「厚生労働大臣は医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県区域内の診療報酬を(全国一律の)診療報酬と異なる定めをすることができる」というもので、改革工程案は「速やかに検討を開始し、16年中に特例の運用に係るガイドラインを取りまとめる」と提起している。
 法改正を要するものに位置づけられた「都道府県の体制・権限の整備」は「民間医療機関に対する転換命令等」都道府県知事権限のさらなる強化を指しており、「遅くとも17年通常国会」で医療法を改正し、医療費目標を盛り込んだ18年度からの第3期医療費適正化計画に間に合わせるべきとの考えを示している。
 同じく法改正を要する「慢性期の医療・介護サービスに対応するサービス提供体制」に関しては、「年内目途の『療養病床の在り方等に関する検討会』の結論等も踏まえ、効率的な体制を構築」と記したが、具体的な時期は明記されていない。
 地域医療構想に関しては16年度末までに策定を終えるとともに「20年時点の中間目標の設定」を盛り込むこと、また、医療機能区分の新たな定量的基準を設定して「遅くとも16年10月(次期病床報告時)に用いる」考えを明記。
 さらに、医療費目標を盛り込んだ次期医療費適正化計画の策定を16年度末までに終えるべきとした。この次期医療費適正化計画に対して、改革工程案は、外来医療費の地域差を解消していく方策を反映するよう求めてもいる。
 地域医療構想について、厚労省は16年度半ばを策定のめどとし、次期医療費適正化計画も「最速で16年度から策定」としており、財務省の考えと基本的に一致している。
 このほか、財務省の改革工程案は、7対1算定要件の一層の厳格化、病床4機能と整合的な点数・算定要件の設定、医療区分2・3の要件厳格化、医療区分1の配置基準緩和・報酬引下げなど、16年度改定で取り組む課題を列挙している。