全日病ニュース

全日病ニュース

様式1を「医療機関別係数で評価するための調査」と位置づけ

【2016年度診療報酬改定DPC制度の検討課題と見直しの方向性について】

様式1を「医療機関別係数で評価するための調査」と位置づけ

「基礎係数と係数Ⅱの配分見直し」と「係数Ⅱの項目ごとの重み付け」見送りは残念

副会長(DPC評価分科会委員) 美原 磐

 現在、2016年度改定におけるDPC制度の見直しについて議論が進められている。
 詳細については本紙記事(5面)を参照していただくことにして、ここでは病院運営の上で留意しておきたい点について述べたい。
 退院患者調査における様式1の基本的な考え方に関しては、16年度改定をもって、病院の機能を医療機関別係数で評価するための調査であると改められる。
 様式1については、退院時転帰や再入院の定義などの幾つかの変更がなされるが、併存症・続発症の記入数が増えたことへの対応が必要である。コーディングにCCPマトリックスが採用されるようなれば、主病名以外の病名を確実につけることが必要となり、担当医は併存症・続発症の病名も十分に意識することが求められよう。
 医療機関別係数における基礎係数と機能評価係数Ⅱの配分は見直されなかった。医療機関別係数における基礎係数の配分は大きく、大規模病院にとって有利な印象は免れない。
 個人的には、頑張っている病院が報われるために機能評価係数Ⅱの配分が大きくなることを期待していたので残念である。Ⅲ群病院からⅡ群病院への移行を目指そうとする病院もあると思われるが、そのハードルは厳しいものがある。
 機能評価係数Ⅰは医療機関のストラクチャーを評価するものであり、現行のまま継続される。
 各医療機関の努力を反映させるために機能評価係数Ⅱの項目ごとに重み付けがなされることを期待したが変更はされなかった。
 その代わり、機能評価係数Ⅱの各項目の分散が均等になるような調整が検討されようとしている。しかし、それが各医療機関の努力を適切に反映されるものになるかは疑問に感じている。
 とは言うものの、各医療機関はそれぞれ項目への対策が必要であろう。例えば、後発医薬品係数、効率性係数、救急医療係数などの向上は、対応可能であるように思われる。
 また、機能評価係数Ⅱとして評価されることが検討されている項目にも留意すべきである。
 例えば、病院の「実績報告」は2017年度から開始される予定であり、また、「指定難病の実績評価」「二次医療圏ごとの救急車の受け入れ状況の評価」「地域医療連携推進法人の評価」などの項目が検討されており、今後の適切な病院運営のために、情報を把握しておくことが必要である。