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一般病院は赤字幅を拡大。国立・公立が顕著な赤字経営

【2015年実調の結果】

一般病院は赤字幅を拡大。国立・公立が顕著な赤字経営

 厚生労働省は11月4日の中医協・調査実施小委員会に2015年の医療経済実態調査の結果を報告した。
 それによると、一般病院は、前々年度(2013年4月~14年3月末の間に会計期間を終えた事業年度)から前年度(同14年4月~15年3月末)にかけて医業収益を1.5%伸ばしたものの、介護収益が0.3%落ち込んだ上に医業・介護費用が3.0%膨らんだため、損益差額の率は-1.7%から-3.1%へと大きく増加。14年改定を挟んで、赤字幅は183%にも拡大した。
 損益差額の率を開設主体別にみると、医療法人は2.1%(前々年度)から2.0%(前年度)とほぼ横ばいながら黒字基調で推移した。しかし、国立(国立病院機構および労働者健康福祉機構)の病院は3.3%の黒字から-0.3%へと赤字に転落。さらに、公立病院も-8.3%から-11.3%へと赤字幅を拡げているが、13年度は旧会計基準、14年度は新会計基準が適用されているため、この数字には留意が必要だ。
 一方、入院収益のある一般診療所は12.8%から11.7%へと率を下げたものの、依然大きな損益差額を得ている。入院収益のない一般診療所になると16.6%から16.1%へとほぼ横ばいを確保した。
 実調の結果は調査実施小委から同日の中医協総会に報告されたが、支払側・診療側とも、報告結果を分析した上で後日の総会でそれぞれ見解を表明するとした。
 中医協は、両側の見解を踏まえて2016年度診療報酬改定の率に対する意見をまとめ、厚生労働大臣に提出する。

2015年医療経済実態調査(医科・病院)の結果から

●有効回答数病院1,365(回答率52.9%)、特定機能病院80、こども病院19など
●対象時期 2014年度および15年度の間にそれぞれ終えた事業年度(計2事業年度)

 

全日病ニュース2015年11月15日号 HTML版

 

 

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