全日病ニュース

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支払側・診療側 「診療報酬への上乗せ対応は限界」で一致

【消費税分科会】

支払側・診療側
「診療報酬への上乗せ対応は限界」で一致

 11 月30 日の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」に事務局(厚労省保険局医療課)は「消費税率8%への引上げに伴う補てん状況の把握結果」を報告した。
 その結果(要旨)は以下のとおり。
①対象医療機関等が仕入れで負担した3%相当額は合計で2,594 億円、これに対して報酬上乗せ分は2,648 億円。したがって、補てん差額は54 億円、補てん率は102.07 %であった。
②補てん率は病院、一般診療所、歯科診療所で100%を超えたが保険薬局は100%を下回った。
③病院全体の補てん率は102.36%であるが、特定機能病院やこども病院は100%を下回った。
④一般病院については、医療法人は106.21%であるが、国立や公立は100%を下回った。
⑤一般病棟入院基本料算定病院の補てん率は99.21%と100%を下回った。療養病棟入院基本料算定病院は130.94%であった。
  この結果を踏まえ、分科会は、中医協総会に「3%分はマクロでは補てんされていることが確認されたものの、補てん状況にはばらつきがみられた」と報告することを確認した。
 議論において、支払側の白川委員(健保連副会長)は、「設備投資の課税分は減価償却期間を合算して補てんされるが、実際には設備投資のときに消費税を負担しているので、医療機関の痛税感はかなり大きいだろう。これは診療報酬で手当てする方式の宿命だ」と指摘。
 その上で、「これが続くと医療機関の不満は解消されずにいくわけで、そろそろ国の税調で解決策を見出す時期ではないか」との認識を示した。
 診療側の西澤委員(全日病会長)も「医療機関個々の補てんのばらつきが大きく、これをもって補てんされているとみなすことはできない。むしろ、診療報酬による上乗せではうまくいかないことがあらためて明確になった。やはり抜本的な改革が必要である」と述べ、医療への消費税課税へと議論を進める必要を訴えた。