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地域包括ケア病棟 手術・麻酔は外出し。急性期大病院の参入は規制

地域包括ケア病棟
手術・麻酔は外出し。急性期大病院の参入は規制

【2016年度診療報酬改定】
改定方針示される。72時間計算の弾力化で支払側・診療側いぜん対立。答申は2月10日か

 1月27日の中医協総会に、事務局(厚労省保険局医療課)は、2016年度診療報酬改定の原案となる「点数の入らない点数表」を提示し、詰めの議論を求めた。これまで議論を重ねてきた改定項目の内容を体系的に整理したもので、各種要件の数値や点数を除くと、16年度に実施される新たな診療報酬の姿がほぼうかがえる(4・5面に概要を掲載)

 それによると、7対1入院基本料に関しては、一般病棟用「重症度、医療・看護必要」と在宅復帰率のしばりを強化、さらに短期滞在手術等基本料3の対象を9項目も拡大、さらなる移行を促すものとなっている。
 厚労省は、今回は平均在院日数の短縮には手をつけないとしているが、短期滞在手術項目の増加は当然に平均在院日数に影響を及ぼす。加えて、一部病棟の10対1への移行を促す「病棟群単位の届出制度」の導入や地域包括ケア病棟入院料の充実見込みも手伝って、一定の移動が生じるものと期待している。
 一方、10 対1 入院基本料に関しては、看護必要度加算3を新設して重症患者受け入れの評価の充実を図る一方、200床超病院にデータ提出加算の届出を要件化するというように、7 対1 につぐ急性期病床としての整いを求めるものとなっている。
 注目すべきは地域包括ケア病棟入院料で、議論の最終局面で「手術・麻酔の外出し」が浮上。「点数の入らない点数表」によると、集中治療室等をもつあるいは許可病床500床超の病院には届出を1病棟に限定するという制約が課せられる。
 「手術・麻酔の外出し」は急性期病棟の地域包括ケア病棟への移行を促すとともに、地域に密着した病院には増悪期の在宅患者に提供できる急性期医療の範囲が広がるため、同病棟の活性化が見込まれるところだ。
 もうひとつの注目点は、夜勤看護の評価を強化することと、夜勤シフトを困難にしている72時間ルールの弾力運用となる計算方法の変更である。
 この、月平均夜勤72時間の計算から外れている月夜勤16時間以下の看護職員をある程度計算に加えるという見直し案に異議を唱えてきた支払側は、1月27日の中医協でも反対の姿勢を崩していないため、結論が出るのは答申ギリギリとなりそうだ。
 一方、病床数の増加が顕著な回復期リハ病棟入院料には、アウトカム評価の導入や初期加算・早期加算の要件強化などが打ち出されており、厳しい改定となりそうだ。
 このほか、退院支援評価項目の再編や在宅医療の報酬体系の再度の見直しも、今回の改定方針原案にあらかたの内容が示された。「点数の入らない点数表」にはDPCに関する見直しの方針も盛り込まれ、16年度以降のDPC運用のあらかたがあきらかになった。
 中医協は、改定方針原案にもとづく詰めの議論を数回行ない、早ければ2月10日にも答申が見込まれてる。

 

全日病ニュース2016年2月1日号 HTML版

 

 

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