全日病ニュース

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施政方針演説で介護提供体制の充実を強調

【2016年通常国会】

施政方針演説で介護提供体制の充実を強調

 第190回国会が1月4日に召集され、6月1日までを会期とする150日間にわたる通常国会の幕を開けた。
 安倍首相は1月22日の衆参本会議で施政方針演説を行ない、アベノミクス新三本の矢の3つ目に位置づけた「安心につながる社会保障」の柱である「介護離職ゼロ」の目標を中心に、2016年度社会保障施策の方針を語った。
 2025年に向けた社会保障・税一体改革は、14年度成立の医療介護総合確保推進法と15年度成立の医療保険制度改革関連法の各施行が進められ、16年度は法的な制度改正の谷間となっていることもあり、医療保険制度改革への具体的な言及はなかった。
 ただし、今国会では、前通常国会で継続審議となった「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」と「社会福祉法等の一部を改正する法律案」の審議が始まっている。
 施政方針演説で、安倍首相は「今後25万人の介護人材を確保していく」ことを明言した。
 昨年末の一億総活躍国民会議で、20年度までに整備する在宅・施設サービス整備の目標値を約50万人分と12万人分引き上げる新方針を掲げ、新第3 の矢に盛り込んだ。
 これを受け、厚労省は最近の試算で20年度までに確保すべき介護人材をそれまでの20万人から5万人引き上げて約25万人と推定したが、その数がこの演説で明言されたため、いわば政府の目標数となったわけだ。
 これを踏まえて、15年度補正で基金(介護分)が積み増しされたほか、16年度予算案でも介護人材確保関連予算が増額されるなど、関連分野に種々の影響が生じた。
 この追加修正にともなって、昨年2月に公表された「2025年に不足する介護人材は約30万人」とする見通しも修正される見通しになるなど、介護人材確保の問題は深刻味をさらに増しつつある。(6面に介護人材に関する関連記事)

■第190 回国会における安倍首相の施政方針演説から

 「介護離職ゼロ」という明確な目標を掲げ、現役世代の「安心」も確保する社会保障制度へと改革を進めていく。
 在宅介護の負担を軽減する。特養やサ高住など多様な介護の受け皿を、2020年代初頭までに50万人分整備する。介護施設には首都圏などの国有地を安く提供する。
 介護福祉士を志す学生には返還を免除する奨学金制度を充実する。いったん仕事を離れた人が復職する場合には再就職の準備金を支給する。あらゆる施策を総動員し、今後25万人の介護人材を確保していく。
 介護休業の分割取得を可能にし、休業中の給付を40%から67%に引き上げる。
 所定外労働の免除、短時間勤務などを可能とし、仕事と介護が両立できる社会を創り上げてまいる。

 

全日病ニュース2016年2月1日号 HTML版