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「病床機能の分化・連携」の評価指標は「7対1病床・患者の縮小」?

「病床機能の分化・連携」の評価指標は「7対1病床・患者の縮小」?

【経済財政諮問会議】
外来定額負担のKPIは「500床超病院外来患者の60%」。厚労省方針に明記

 経済財政諮問会議が1月21日に開かれ、2016 年前半の検討課題として、(1)「600 兆円経済」の実現、(2) 消費税率の再引き上げを円滑に行なえる環境の創出、(3) 経済・財政再生計画の着実な推進の3 つを中心に議論を進めていくことを確認した。
 16年前半の検討課題に関する議論は6月の骨太方針に収斂されていく。
 甘利経済財政政策担当大臣は、検討課題を明らかにする中で、(1) の中に健康長寿を含む「公的分野の産業化の推進」を位置づけるとともに、(3) では「改革工程表のレビュー、社会保障等に係る給付・負担の在り方についての検討」をテーマにあげ、17 年度予算編成に向けた取り組みを含め、引き続き社会保障制度改革に取り組む考えを明らかにした。
 会議事務局である内閣府は、この日の会合に、「経済・財政再生計画」に沿った取り組みの概要を示す各府省の公表資料を提出した。
 その中で、厚労省における取り組みは「社会保障制度の充実・機能強化と重点化・効率化を進め、経済再生・財政健全化の両立に寄与するため、以下の施策に取り組む」として、「歳出抑制効果」と銘打った、①医療・介護提供体制の改革、②予防・健康づくり等の推進(成長力強化効果)、③診療報酬・調剤報酬改定、薬価を含む医薬品等の改革の3点に整理されている。
 そして、①については「地域医療構想」「医療費適正化計画(外来医療費の地域差の縮小を図る)「地域差の分析による介護費用の適正化」が、②では「予防インセンティブ」「がん対策」「データヘルス」が、③においては「診療報酬改定」「後発医薬品の使用促進」「かかりうつけ薬剤師・薬局の推進」がそれぞれ取り上げられている。
 このうち、「予防インセンティブ」では、「保険者の医療費適正化への取組を促すための指標を検討し、2015年度中に決定する。この新たな指標の達成状況に応じ、保険者努力支援制度の趣旨を2016年度から国保の特別調整交付金の仕組みに反映する」と、保険者インセンティブ強化の施策について説明。
 その上で、保険者インセンティブにかかわる KP(I 重要業績評価指標)として以下の項目をあげている。
◎健康寿命(2020年までに1歳以上延伸)
◎健診受診率(2017年度の特定健診受診率70%以上、2020年までに40〜74 歳の特定健診を含む健診受診率を80%)
◎糖尿病等生活習慣病の患者数(2022年度までに糖尿病有病者の増加の抑制1,000万人)
◎メタボ該当や高血圧等生活習慣病リスク(2020年までにメタボ人口2008 年度比25%減、2022年度高血圧の改善=収縮期血圧の平均値の低下/男性134㎜ Hg、女性129㎜ Hg)
◎ 後発医薬品の使用割合(2017年央70%、2018年度から2020年度までの早い時期に80%以上に引き上げ) 以上のKPIは、健診やレセプトなどの情報を分析して加入者の健康状態に即したより効果的・効率的な保健事業に取り組む「データヘルス」のKPI にも採用されており、厚労省は、当事業の普及を図りつつ保険者インセンティブを推進する考えだ。
 一方、「診療報酬改定」に関しては、主要な狙いとして「病床の機能分化・連携」と「かかりつけ医のさらなる普及」を打ち出している。
 そして、前者に関しては、「入院基本料等に応じた適切な病床数(7対1入院基本料を算定する病床数【縮小】、患者数【縮小】)を、後者については、「紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担を導入(大病院受診者のうち紹介状なしで受診した者の割合= 500 床以上の病院で約60%)」をそれぞれKPIとする考えを示した。
 その上で、「平成30年度診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、中医協において、引き続き、病床機能の分化・連携を促す上で適切な評価等を検討する」とし、7 対1 病床とその患者の数の縮小度合を重要な指標とする「病床機能の分化・連携」を、同時改定に向けてさらに追求していく方針を明らかにしている。

 

全日病ニュース2016年2月1日号 HTML版

 

 

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  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2015年8月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2015/150801.pdf

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