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18年度からのインセンティブ強化へ「保険者共通評価基準」を導入

18年度からのインセンティブ強化へ「保険者共通評価基準」を導入

【特定健診・特定保健指導】
第3期計画に向けた見直し作業を開始。保険局・健康局が合同検討会

 第3期特定健康診査等実施計画(2018年〜22年)の策定に向けて、医療費適正化計画に資するとともに、保険者のインセンティブ強化につなげる特定健診・特定保健指導の見直しを検討するために、厚労省は「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(在り方検討会)を設置するとともに、1 月8日に「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(健診・保健指導等検討会)との合同検討会を開催した。
 合同検討会では、(1) 技術的な事項である特定健診・特定保健指導に関するエビデンスの収集・分析等は在り方検討会(事務局・健康局健康課)で検討し、(2) 法令改正などの制度的事項は健診・保健指導等検討会(事務局・保険局医療費適正化対策推進室)で議論し、(3) 両検討会は必要に応じて合同検討会を開いて結果を共有するとともに共同でとりまとめることで一致するとともに、見直しに向けた検討の今後の進め方で合意した。
 また、当面の日程として、① 1月内に在り方検討会をもち(1月19日に開催済)、以降定期的に開催する、② 3月頃に健診・保健指導等検討会を開いて第3期計画期間における具体的な実施のあり方について議論を開始し、以降、定期的に開催する、③ 16年半ばに合同検討会で特定健康診査項目に関する見直しの中間とりまとめを行なう、ことを確認した。
 在り方検討会は11年12月の設置以降特定健診・保健指導のあり方について議論を重ね、「標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)」をまとめた13 年4月に閉会となった「健診・保健指導の在り方に関する検討会」に代わるもの。
 一方、11年4月に設置された健診・保健指導等検討会は、08年度の特定健診・特定保健指導制度導入に先立って06年8月から07年3月まで設置された「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」を、現名称に変えた上11年4月に再開し、特定健診保健指導の制度上の課題を中心に検討を行なってきた。
 この1月6日には、「今後の保険者における予防・健康づくり等の取組の推進に当たって共通的に評価する指標について」をとりまとめている。
 今回、担当部局を越えて合同検討会を開いた直接の契機は、「特定健康診査等基本指針」にもとづいて5 年ごとに見直す実施計画の第3期分を前に、特定健診・特定保健指導の関連事項の見直しを検討することが目的だ。
 一方で、健診・保健指導等検討会は14年度以降、「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証」について議論する一方で「保険者共通のインセンティブ指標」の検討を重ねるなど、医療費適正化にどう資する特定健診になっているか、また、そうした保健事業の成果を後期高齢者支援金の加算・減算制度など保険者の奨励・支援にどうつなげていくかというテーマの議論を展開してきた。
 これは、「日本再興戦略」や骨太方針2015 に「保険者の保健事業の取組に対するより一層の効果的なインセンティブとなるようインセンティブ強化について制度設計を行う」ことが明記されたためだ。
 その際、保険者個々の特性はあるものの、インセンティブ強化に際しては、数値目標(KPI)を取り入れた検証可能なものにする必要があるため、健診・保健指導等検討会は保険者共通のインセンティブ指標を検討、この1月6日に「共通的に評価する指標」を提案した。
 それは、①特定健診・特定保健指導の実施率、メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率、②特定健診・特定保健指導に加えて他の健診実施や健診結果等に基づく受診勧奨等の実施状況、糖尿病等の重症化予防の実施状況、④広く加入者に対して行う予防・健康づくりの実施状況、⑤加入者の適正受診・適正服薬を促す取組みの実施状況、⑥後発医薬品の使用促進の実施状況という、6つの指標からなる。
 そして、「今後、保険者種別ごとに、これを指針として、既存の保険者の取組状況や好事例の取組等も踏まえ、具体的な評価基準の内容、評価基準の当てはめ方等について検討していくことが適当」とした上で、データへルスが本格化する2018年度以降はその取り組みを評価指標に加えていくことが望ましいとの考えを示した。
 今回の合同検討会がテーマとする特定健診・特定保健指導は、こうしたインセンティブ指標の軸となるもの。
 「共通的に評価する指標」は、保険者が取り組む保健事業の評価基準について、「当面は取組の実施状況に着目した指標(いわゆるアウトプット指標)を中心とするが、可能な限り、数値等の客観的に取組状況が測れる、取組の成果に着目した指標(アウトカム指標)としていくことが望ましい」とも提起している。
 それだけに、単に実施率や受診割合等の向上を求めるだけでなく、予防効果をより高める健診項目や保健指導実施の枠組み等の改善が期待されることになるわけだが、この共通評価指標は、18年度から実施される保険者の予防・健康づくり等に対する新たなインセンティブ(別掲)に、何らかの形で採用される予定だ。
 したがって、第3期計画に向けた見直し議論は、特定健診・保健指導の内容だけでなく、その効果的な実施方法と評価の方法等、保険者にとってもきわめて真剣な対応を迫るものとなっている。

 

全日病ニュース2016年2月1日号 HTML版

 

 


全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2015年11月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2015/151101.pdf

    2015年12月27日 ... 療養病床の在り方等に関する検討会. 10月23日の「療養病床の在り方等に関. する検討
    」. (写真)で、構成員から、療. 養病床の転換 ..... 者努力支援制. 度」の趣旨を現行
    インセンティブ強化 ... 保険者努力. 支援制度」を待たずに、16年度から、. 上記のような
    施策に積極的に取り組. む自治体に特別調整交付金を傾斜配. 分する。

  • [2] 「経済・財政一体改革」集中改革期間(16~18年度)の改革項目をリスト ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150901/news03.html

    2015年9月1日 ... 検討の大枠」は、医療・介護を主に改革項目を網羅したものだが、推進委員会は、これを
    ベースに各省庁のヒアリングを行ない、必要なデータ ... (2)インセンティブ改革⑭保険者
    の医療費適正化に向けた取組に対するインセンティブ強化に係る制度設計⑮ヘルス
    ケアポイント付与や ... の仕組みやあり方等の検討㉜市場実勢価格を踏まえた薬価の
    適正化㉝薬価改定のあり方について、その頻度を含め検討㊲16年度改定 ...

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