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7対1「看護必要度」の患者割合は25%、200床未満は23%

7対1「看護必要度」の患者割合は25%、200床未満は23%

【地域包括ケア病棟】
点数据え置きのまま手術・麻酔を外出し。病棟群単位の届出期間は1年

▲ 2016年度改定の答申に臨む診療側委員

 2月10日に開かれた中医協総会は、2016年度診療報酬改定に関する厚生労働大臣の諮問に事務局(厚労省保険局医療課)案のとおり答申した。
 16年度改定は、療養病棟入院基本料2や障害者施設等入院基本料などの慢性期病床を除くと基本診療料レベルで目立つ引き下げはなく、一見、穏やかな趣きをみせている。
 しかし、短期滞在手術等基本料3の対象の大幅拡大と現行各項目の点数引き下げや回復期リハ病棟へのアウトカム導入など、本体報酬改定率を+0.49%にとどめるべく、随所に抑制をきかせている。
 最優先事項となった一般病棟7対1入院基本料算定病棟の削減に向けて、一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」該当患者の割合は25%(現行15%)とされた。在宅復帰率は分子に在宅復帰機能強化加算を算定する有床診を追加しつつ75%から80%への微増にとどまった上、平均在院日数要件は現状維持となったことから、7対1病床の命運は25%基準にほぼゆだねられることになる。
 一方、10対1への移行を促す措置として病棟棟群単位の届出制度が導入された。また、大病院には病棟数の制限がついたものの、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)は手術と麻酔が包括から外され、7対1病床の移行先として、その機能に対する関心を高めるものとなった。
 このほか、退院支援の整理・強化、かかりつけ医機能の普及、在宅医療の拡充とその報酬体系の再構築、夜勤看護体制評価の充実など、今改定は硬軟をとりまぜ、調整のきいた診療報酬をつくりあげた。
 告示・通知は3月4日が見込まれている。(2・3 面に改定内容の概要を掲載)

 16 年度改定の焦眉の課題であった一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」については、「手術等の医学的状況」に関する評価項目が導入されたが、当初案でM項目(M得点)とされていたのが、最終的にC項目(C 得点)となった。
 一般病棟用の該当基準は、①A得点2点以上+B得点3点以上、②A得点3点以上、③C得点1点以上のいずれかで、地域包括ケア病棟入院料に関しては、これが「A得点1点以上またはC得点1点以上」となる。
 見直しにともなう該当患者割合要件は、7対1入院基本料に関しては25%(現行15%)に、10対1入院基本料の急性期看護補助体制加算と看護職員夜間配置加算の要件としては6%(5%)に、それぞれ引き上げられた。
 いずれも16年9月30日までの経過措置が認められたが、さらに、200床未満の7対1病院で病棟群単位の届出を行なわない場合は、「重症度、医療・看護必要度」の患者割合は18年3月31日まで23%とする緩和措置が設けられた。
 また、10対1入院基本料の看護必要度加算にかかわる当該患者の割合は、1が24%以上(現行15%以上)、2が18%以上(10%以上)、新設された3は12%以上となり、配点も引き上げられた。看護必要度加算1・2の経過措置は16年9月30日までとされた。
 7対1病院における病棟群の届出期間は17年3月31日までの1年間。届出病院における7対1の病床数は、17年4月1日以降は、一般病棟入院基本料病床数の6割以下とすることが必須となる。
 7対1の施設基準になっている自宅退院した患者については、計算式の分子に在宅復帰機能強化加算を算定する有床診を加えたものの、その割合を80%以上(現行75%以上)とする小幅な引き上げにとどまった。
 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)1にかかわる計算式も同様に見直されたが、その割合は現行(70%以上)のままとなった。
 療養病棟入院基本料2の施設基準に加えられた「医療区分2・3患者の割合」は5割以上。経過措置は16年9月30日までと短いが、この基準あるいは看護25対1のみを満たさない病棟で、3月31日時点で療養病棟入院基本料1または2を半年以上続けている上、30対1看護を満している場合は、17年度末でまで所定点数の95%を算定できる。
 この措置について、関係者からは「新たな施設類型の成立をみこしたものか」との声も出ている。
 今改定で特筆すべきは月平均夜勤時間数の計算が見直されたことだ。これまでは、計算に「月当たりの夜勤時間数が16時間以下の者は含まない」とされてきたため、2交代制の場合の月1 回夜勤の看護職員は計算に入らなかった。
 しかし、今回、7対1と10対1の病棟に関しては「16時間未満の者は含まない」としたため、月1回夜勤も計算に加えることができる。
 さらに、それ以外の病棟は「8時間未満の者は含まない」と見直されたため、3交代制の場合は月2回までの看護職員を計算に含めることができ、さらに、早出・遅出等の時間外勤務にも対応しやすくなる。
 また、72時間規定のみを満たさない医療機関に適用される月平均夜勤時間超過減算の幅が20%から15%に縮小され、それでも看護要員に欠く場合にやむなく算定するものとして、減算幅30%の夜勤時間特別入院基本料が創設された。
 このほか、7対1・10対1のADL維持向上等体制加算が25点から80点へと大幅に引き上げられた。また、土曜日・休日および深夜に限定されていた診療時間外の救急搬送患者に対する診療の評価(夜間休日救急搬送医学管理料)が平日の診療時間外に広がった上、200点から600点に引き上げられた。
 さらに、50対1以下の医師事務作業補助体制加算の対象に、療養病棟入院基本料と精神病棟入院が追加された。
 主要な点数が据え置きあるいは引き下げられるなど厳しい内容ではあるが、夜勤計算の見直しや医師事務作業補助体制加算の対象拡大など、永年の要求が実った改定ともなった。

診療側が会見。病院団体は25%に強い懸念

 2月10日の中医協総会で2016年度診療報酬改定の答申を終えた診療側の医科委員は、日本医師会と四病院団体協議会の合同による記者会見を日医会館で開いた。5人の医科委員とともに横倉日医会長および病院団体の4会長が会見に臨んだ。
 横倉日医会長は「かかりつけ医機能の強化が一定進んだ」と今改定を前向きに評価。7対1病床の移行を促す措置に危惧を示す一方、病棟群単位の届出措置や夜勤看護の計算方法見直しは評価した。
 病院団体は、とくに、「重症度、医療・看護必要度」の25%基準に対する懸念を表明した。
 全日病の西澤会長は「看護必要度の項目は救命救急中心、したがって外科中心の評価であるため、内科系の中小病院ほど7対1に留まれなくなる。こうした項目が急性期の評価として適正であるのか、しっかりした調査と検証が必要である」との認識を表明した。
 中医協委員である全日病の猪口副会長は、「回復期リハ病棟へのアウトカム評価の導入や療養病棟入院基本料2算定病棟の動向に括目しつつ、医療提供側としてデータを蓄積して次期改定に臨んでいかなくてはならない」との認識を表わした。

 

全日病ニュース2016年2月15日号 HTML版

 

 

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