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地域構想ガイドラインと病床機能報告マニュアルの補正・追加を了承

地域構想ガイドラインと病床機能報告マニュアルの補正・追加を了承

地域医療構想策定GL検討会構想の残る議論は医療計画見直し検討会に引き継ぎ。圏域や基準病床数も検討

 3月10日に開催された「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は、地域医療構想策定GLおよび病床機能報告マニュアル等を見直す具体的内容で合意に達した。
 事務局(厚労省医政局地域医療計画課)は報告マニュアルを8月をめどに改正し、2016年度の病床機能報告に向けて医療機関への浸透を図りたいとしている。
 一方、事務局は、2018年度から始まる第7次医療計画(~2013年度)に向けて、基本指針等の見直しについて議論する「医療計画の見直し等に関する検討会(仮称)」を16年度早期に設置、年内にもとりまとめる方針を示した。
 医療計画見直し検討会は、地域医療構想を含め、2025年に向けた病床機能の分化・連携と医療・介護の連携を推進するために求められる地域医療計画の記載事項等について検討する。これを踏まえ、地域医療構想策定GL検討会はこの日をもって閉会となった。
 医療計画見直し検討会がまとめる報告の内容は地域医療構想推進の施策にも影響が及ぶ可能性があるため、地域医療構想策定GLの見直しは同検討会のとりまとめを踏まえ、医療計画基本指針と同時期に施行される見通しだ。

 医療計画見直し検討会には、新たに医療介護総合確保方針を踏まえるとされ、かつ、介護事業計画との整合性を確保するために計画期限が6年に延長される第7次医療計画で、①地域医療構想を有機的に位置づけるとともに、②医療と介護との具体的連携を確保する方策を盛り込むことが求められている。
 さらに、③圏域のあり方、5疾病5事業の内容、基準病床数の考え方なども検討課題にあげられている(別掲)。すでに、14年9月に施行された医療介護総合確保方針については、この夏に見直しを図る予定で議論が進んでいる。
 医療計画見直し検討会は、短期間に多くの検討課題をこなすためにテーマごとにWGを設け、各論の議論を深めるという運営が予定されている。
 地域医療構想は病床の機能分化・連携を地域ごとの医療ニーズに即して進めるためのビジョンであるが、地域包括ケアを推進するためには医療計画や介護保険事業計画との有機的な連携が欠かせない。
 医療計画の見直し検討会は、そうした視点から、地域医療構想を包摂する医療計画の新たな役割と課題を明らかにしていくことになるが、病床機能報告や地域医療構想に関連して「4機能の定量的指標」や「4機能にもとづく病床区分」などの検討課題が提起されている。年内に終える医療計画見直し検討会の後、それら課題をどう扱っていくかは定かではない。この点に関する本紙の質問に、地域医療計画課の担当官は、「重要な課題であると認識しているが、どうするかはまだ明確には決めていない」と答えた。
 一方、地域医療構想は16年度半ばに39都道府県で最初の策定を終える見通しで、今後は、その実現を図る調整会議の機能とそこでの議論の前提となる病床機能報告の精度が求められていく。
 地域医療構想策定GL検討会が最終回に了承したものは、まさに、(1)病床機能報告制度の改善、(2)調整会議の議論の進め方をめぐって、報告マニュアルと構想策定GLを補正・補強するもので、主に都道府県を対象とした“指導要領”となるが、病床機能報告の部分は各医療機関が機能を選択する上での判断材料を提供するものとなっている。

ガイドラインと報告マニュアルの見直し内容(要旨)

【病床機能報告制度の改善について】

◎地域医療構想で推計する必要病床数(病床の必要量)は、個々の病棟単位での患者の割合等を正確に反映したものではないことから、必ずしも、病床機能報告制度の病床数と数値として一致する性質のものではない。
◎その上で、都道府県は、地域医療構想を踏まえたあるべき医療提供体制の実現に向けた取組を推進するための参照情報として、構想区域単位で各医療機関からの病床機能報告制度の病床数を活用すること。
◎特定入院料等を算定していない病棟は、従来通り、病棟単位の医療機能を4つの中から、各医療機関の判断で選択すること。特定入院料等を算定している病棟は、一般的には下表のとおり取り扱うこと。

【地域医療構想調整会議での議論の進め方】

◎地域医療構想調整会議での議論の進め方についての例示
 ガイドラインの「Ⅱ. 地域医療構想策定後の取組 2.地域医療構想調整会議の設置・運営(1)議事 イ議論の進め方」に、「i 地域の医療提供体制の現状と将来目指すべき姿の認識共有」「ii 地域医療構想を実現する上での課題の抽出」「iii 具体的な病床の機能の分化及び連携の在り方について議論」「iv 地域医療介護総合確保基金を活用した具体的な事業の議論」ごとに、取り組むべき事項を具体的に例示する。
 また、併せて、議論する上で参考となるデータ・文献等の資料を例示する。

□第7次医療計画に向けて「整理が必要と考えられる事項(例)」

◎2次医療圏について
・5疾病5事業ごとの医療圏の設定について
・介護における圏域と2次医療圏の考え方について
◎地域包括ケアシステムの構築に向けた介護との連携について
・地域包括ケアシステムの構築に向けた医療計画のあり方について
・在宅医療等の充実に向けた取組について
・介護保険事業(支援)計画との関係について
◎5疾病5事業について
・対象となる疾病や事業について
・各疾病・事業ごとの指標について
◎基準病床数について
・基準病床数の考え方(算定式を含む)等について
◎医療従事者の養成・確保について
◎健康増進計画等他の計画と関係について s

 

全日病ニュース2016年3月15日号 HTML版

 

 

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    考える「全日病ニュース」は、 ... 2月4日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する
    検討会」に、事務局(厚労省医政局地域医療計画課)は「病床機能報告制度 ... の報告
    マニュアルに追記していく方針で、その考え方として「特定の機能を有する病棟における
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