全日病ニュース

　厚生労働省は3月7日、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催し、2016年度の介護保険関係の施策の方針を示した。一般病院の看護職員向けの認知症対応力向上研修の実施などを説明した。

医療・介護連携で都道府県から市町村への支援を要請

　冒頭、三浦公嗣老健局長が挨拶。社会保障審議会介護保険部会が次期制度改正に向け議論をスタートし、検討事項として①地域包括ケアシステムをどのように推進していくのか②介護保険制度の持続可能性を確保していくために何をしなければいけないのか─の２点を示したことを紹介した。
　その上で、地域包括ケアシステムの推進に向け、「保険者と都道府県が一体となった取り組み」の重要性を指摘した。
　さらに2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる予定であることをふまえ、医療・介護連携の重要性を改めて強調し、「医療については都道府県に大きなノウハウがある。医療と介護の連携の進め方では都道府県から市町村に対してご支援いただきたい」と要請した。

認知症ケア加算2の要件を満たす方向で調整

　厚労省は、認知症施策推進総合戦略（新オレンジプラン）をふまえた、「看護職員認知症対応力向上研修」の実施について説明した。この研修を修了した看護師の配置が2016年度診療報酬改定で導入された「認知症ケア加算２」の要件の一つとなる方向で調整中だ。
　同研修は、一般病院におけるリーダー的な役割の看護職員を対象とし、カリキュラム案は①基本知識②対応力向上③マネジメント─ の３部構成。
　３日間程度の内容を予定している。②では、個々の認知症の特徴・症状に対するより実践的な対応力（アセスメント、看護方法・技術、院内外連携手法）の習得を目指す。③では、施設全体および部門ごとのマネジメント（人員、環境、情報管理等）の実践的な対応方法および研修計画策定や教育技法を習得する。
　また新オレンジプランで、2017年度末で約500か所の整備を目指している認知症疾患医療センターは２月末現在、全国で総計336か所あることを示した（予定も含む）。うち2014年度から導入された「診療所型」は19か所だ。

虐待防止で柔軟な指導・監査を要請

　厚労省は、大手介護事業者グループが運営する複数の事業所において、職員による高齢者虐待が発生した事案を紹介。虐待防止に重点を置いた機動的な指導・監査の実施を改めて指示した。
　通報等の内容が利用者の生命、身体に関わるものである場合は、事前の通告なしで監査することを要請した。実地指導でも同様の対応を求めた。関連して指導指針を見直す予定だ。
　他方、介護職員処遇改善加算を算定しているにもかかわらず介護従事者に支給せずに、多額の報酬を不正に請求した事業所の問題について紹介。
　厚労省は、不正が疑われる場合は監査において賃金改善状況の把握と厳正な対応を要請。実地指導でも賃金改善状況の確認の徹底を求めた。
　同加算の不正請求を防止するために、近く通知を発出する予定を示した。

通所・訪問リハの質の向上を目指す

　「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業」を2016年度から実施することを説明した。同事業では、リハビリテーションマネジメント加算におけるリハビリテーション計画書等の作成を支援するソフトを開発。ソフトを活用し、リハ計画書等のデータを集め、そのデータを解析し、質を評価する仕組みの導入を目指す。