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回復期を選択する医療機関が増加 2015年7月時点の病床機能報告の速報値を公表

地域医療構想ガイドライン検討会

回復期を選択する医療機関が増加
2015年7月時点の病床機能報告の速報値を公表

 前号既報のとおり、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(遠藤久夫座長)が3月10日に開かれ、厚労省が、2015年度病床機能報告制度の医療機関による報告状況の速報値を公表した。2014年7月1日時点と比べると、高度急性期を選択する医療機関が減少し、回復期を選択する医療機関が増加していることがわかった。
 病床機能報告制度では、医療機関が病棟単位で、①各年の7月1日時点の医療機能②6年後の医療機能③2025年の医療機能(任意)─ を厚労省に報告している。医療機能は高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4種類から選ぶ。
 2015年7月1日時点の報告について、今年2月16日に保険局医療課のデータクリーニングが完了し、集計がほぼ終了した(病院98.2%、有床診療所92.5%)。医療機関全体の報告率は95.6%となっている  2015年7月1日時点の報告状況をみると、2014年7月1日と比べて、高度急性期が15.5%から13.6%に減少、急性期が47.1%から47.6%にわずかに増加、回復期が8.8%から10.4%に増加、慢性期が28.6%から28.4%でほぼ横ばいだった。
 病床数では、高度急性期が16万9,367床、急性期が59万2,634床、回復期が12万9,100床、慢性期が35万3,528床、合計が124万4,629床となっている。なお、回復期のうち一般病棟は7万6,072床、療養病床は5万3,028床で、療養病床が4割を示している。
 6年後の状況についての報告でも、ほぼ同じ傾向がみられた。高度急性期は減少、急性期は増加、回復期も増加、慢性期はほぼ横ばいといった状況だ。
 2025年度も同様の傾向だが、慢性期については27.3%から26.7%に、若干減少した。

診療報酬と報告との関係を整理

 病床機能報告の精緻化に向けて同検討会は、報告制度の改善策をまとめた。地域医療構想で推計する必要病床数と病床機能報告制度は性格が異なり、「数値として一致する性質のものではないことに留意する必要がある」と明確にしている。その上で、一部の特定入院料の施設基準と「親和性の高さ」があることから、その関係を整理をして示した。
 具体的には、「救急救命入院料」「特定集中治療室管理料」「ハイケアユニット入院医療管理料」「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」などを算定していれば、高度急性期として位置づけている。
 また、「地域包括ケア病棟入院料」は主に担っている機能として、急性期と回復期のいずれかの判断をゆだねた。慢性期の選択肢も否定していない。
 「特殊疾患入院医療管理料」「特殊疾患病棟入院料」「療養病棟入院基本料」は慢性期とした。

 

全日病ニュース2016年4月1日号 HTML版

 

 

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