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社会福祉法等改正法が成立

社会福祉法等改正法が成立

社会福祉法人の運営の透明化へ 潜在介護福祉士の届出が努力義務に

 社会福祉法人改革と福祉人材の確保を推進するための、社会福祉法等の一部改正法は3月31日、衆院本会議にて自民、民進、公明などの賛成多数で可決し、成立した。施行は一部を除き2017年4月1日から。社会福祉法人はいわゆる内部留保を明確にし、公益事業に再投資することが求められる。
 社会福祉法等改正案は、昨年4月に国会に提出されたが、継続審議となっていた。改正法は、社会福祉法人制度の改革と福祉人材確保の促進がふたつの柱。
 社会福祉法人には、議決機関としての評議員会の設置を義務付けることになった。この評議員会において、理事や幹事、会計監査人の選任などの重要事項の決議を行うこととした。社会福祉法人の経営組織の見直しを図る。
 改正法により、社会福祉法人の財務規律は強化される。役員報酬基準を作成し、公表することが義務となる。役員等の関係者へ特別の利益を与えることも禁止される。
 毎会計年度、純資産の額が事業の継続に必要な額を超える社会福祉法人は、社会福祉事業または公益事業の充実・新規実施を行う「社会福祉充実計画」を作成して所轄庁の承認を得なければならないことになる。これは社会福祉法人の、いわゆる内部留保への批判に応えた改革だ。法人は純資産から事業継続に必要な財産額を差し引いた額(社会福祉充実残額)を明確にした上で、公益事業へ資本を投入する必要がある。
 社会福祉法人への行政の関与のあり方についても改正がなされた。所轄庁による指導監督を強化する。都道府県知事は、社会福祉法人の活動状況などの調査と分析を行って公表に努めることとされた。また、厚生労働大臣は社会福祉法人に関する情報のデータベースの整備を図る。
●離職した介護福祉士の届出制度
 改正法のもう一つの柱は、福祉人材の確保の促進である。社会福祉事業などに従事していた介護福祉士などの資格保有者が離職した場合に、都道府県の福祉人材センターに住所や氏名を届け出ることが努力義務とされる。
 介護福祉士の国家資格取得方法についての見直しもなされた。現行では養成施設の卒業者は介護福祉士になれるが、今後は国家試験に合格しないと介護福祉士になれなくなる。この規定の施行を、予定されていた「2016年4月」から1年延期して「2017年4月」とする。
 特例として2017年度~ 2021年度の卒業者は、卒後5年間は介護福祉士となる資格をもち、その間に試験に合格することが求められる。卒後5年間に介護等の仕事に就いた場合も、資格を保持できる。
 2022年度以降は、養成施設の卒業者で試験に不合格の人は准介護福祉士に、合格すれば介護福祉士になれることになる。

1.社会福祉法人制度の改革
 ①経営組織のガバナンスの強化
 ②事業運営の透明性の向上
 ③財務規律の強化適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資
 ④ 地域における公益的な取組みを実施する責務
 ⑤行政の関与のあり方
2.福祉人材の確保の促進  ① 介護人材確保に向けた取組の拡大
 ② 福祉人材センターの機能強化
 ③ 介護福祉士の国家資格取得方法の見直しによる資質の向上等
 ④ 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し

 

全日病ニュース2016年5月1日号 HTML版

 

 

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    のか、あるいは、 ... 財団の場合は、理事は現行医療法人制度と同様に評議員会で選任
    するが、評議員は寄付行為で定める方法で選任することにしてはどうか。

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