全日病ニュース

全日病ニュース

費用対効果評価の医薬品7品目、医療機器5品目を決定

費用対効果評価の医薬品7品目、医療機器5品目を決定

【中医協・専門部会】
ハーボニーやオプジーボが対象に

 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は4月27日、4月から試行的に導入された費用対効果評価の対象品目を決定した。医薬品7品目、医療機器3品目が選ばれ、医薬品のうち5品目はC型慢性肝炎治療薬の類似薬だった。高い効能効果が認められ、高い価格が設定されているものが対象。  同日の総会でも了承されている。
 医療技術の発展で高額な薬剤が相次いで登場し、医学の進歩を享受できる一方で、医療保険財政に与える影響が大きくなっている。中医協は2012年5月に費用対効果評価専門部会を設置し、諸外国の状況を参考にしながら、費用対効果評価の検討を続けてきた。
 2016年度診療報酬改定において、4月から費用対効果評価を試行的に導入することになり、今回、2016年度改定で決めた制度の仕組みに従って、具体的な医薬品・医療機器を選定した。
 対象は2013 ~ 2015年度に保険適用された医薬品・医療機器で、類似薬効比較方式と原価計算方式に分けて、選定。医薬品では、薬価算定の加算率が最も高いもの、またはピーク時予想売上が高いものを選定。医療機器では、加算率が最も高いもの、または保険償還価格が最も高いものが選定される。
 また、これらの基準で選定された医薬品・医療機器の薬理作用類似薬及び同一機能区分に該当する医療機器も対象となる。
 医薬品は7品目で、うち5品目が類似薬効比較方式で算定されたC型慢性肝炎に対する画期的新薬とその類似薬となった。具体的には、補正加算の加算率が最も高い100%がついた「ソバルディ」(ギリアド・サイエンシズ)と、それに続いた類似薬である◇ハーボニー(同)◇ヴィキラックス(アッヴィ)◇ダクルインザ(ブリストル・マイヤーズ)◇スンベプラ(同)─となっている。ピーク時予想売上高は、ハーボニーが1,190億円で最も高い。
 原価計算方式では、「オプジーボ」(小野薬品工業)と「カドサイラ」(中外製薬)が選ばれた。「オプジーボ」の主な適応症は「悪性黒色腫等」で、加算率は60%、ピーク時予想売上高は30億円、「カドサイラ」の主な適応症は「HER2陽性の再発乳癌等」で、加算率は10%、ピーク時予想売上高は170億円となっている。ただし「オプジーボ」は、昨年12月17日に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能効果が追加されており、売上額が増えていくことが予想される。
 医療機器は5品目で、類似機能区分比較方式が3品目、原価計算方式で算定が2品目となっている。
 具体的には、類似機能区分比較方式では、「胸部大動脈瘤」が適応症の「カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム」(川済化学工業)と「振戦等」が適応症の◇アクティバRC(日本メドトロニック)◇バーサイスDBSシステム(ボストン・サイエンティフィック・ジャパン)─。
 原価計算方式では、「外傷性軟骨欠損症」が適応症の「ジャック」(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)と「重度大動脈弁狭窄症」が適応症の「サピエンXT」(エドワーズライフサイエンス)となった。保険償還価格は「サピエンXT」が431万円で最も高い。
 これらの選定品目について、企業にデータ提出を求めた上で、専門家からなる再分析グループが再分析を開始する。その結果を受け、費用対効果評価専門組織が総合的評価(アプライザル)を実施する。実際の保険償還価格への反映は2018年度改定で実施される。
 これらの過程はほぼ非公開で行われるため、中医協委員は、適宜検討状況を報告することを求めた。

中医協・総会 2014年度改定を検証する特別調査報告書を了承

 中医協は4月27日の総会で、2014年度診療報酬改定の結果を検証した特別調査報告書を了承した。外来の主治医機能の評価や在宅療養後方支援病院の新設、リハビリテーションの適正化、後発医薬品の使用促進策の効果など、2014年度改定の主要な改定項目を検証している。
 特別調査の結果は昨年11月にすでに速報値が中医協に報告され、2016年度改定に向けた議論で活用された。しかし報告書の公表が改定以後になることに不満が相次いだ。全日病副会長の猪口雄二委員は、次回以降できるだけ早く公表するよう要請した。「データが恣意的に活用される疑念を生む」との懸念も示された。

中医協・患者申出療養評価会議 2つの部会を設置、メンバー決める

 4月からスタートした患者申出療養制度の医療技術の安全性・有効性を審査する「患者申出療養評価会議」が、4月15日に初会合を開いた。患者からの申出件数はまだゼロ件だが、今後、臨床研究中核病院などに申出があれば、評価会議が審査し、厚労省が承認、告示する。
 現行の先進医療との違いは、患者が起点となり、身近な医療機関でも迅速に高度な医療が保険外併用療養費で受けられること。先進医療や治験の対象基準から外れる患者なども対象となる。
 同日は主にがんなどを優先的に扱う第一分科会と主に難病などを扱う第二分科会のメンバーを決定した。また、評価会議の座長には、福井次矢・聖路加国際病院院長が選出された。

 

全日病ニュース2016年6月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 医療・介護分野の今後の改革項目を議論

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160501/news08.html

    2016年5月1日 ... オプジーボで1兆7,500万円の費用を予測 ... 抗がん剤など高額薬剤に対する費用対
    効果評価の必要性を主張した。 ... 導入◇診療報酬の都道府県の特例措置◇高額療養
    費の外来上限や高齢者の負担上限見直し◇市販類似薬の保険外し◇ ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年5月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160501.pdf

    2016年6月4日 ... 算定薬. 価は2万2,948円で、ピーク時販売金. 額は492億円、予測投与患者数は6.9万.
    人。効能・効果は「家族性 ... い、「抗がん剤のオプジーボの費用が ..... 担上限見直し◇
    市販類似薬の保険外し ... 費用対効果評価を考慮する必要がある.

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。