全日病ニュース

日本専門医機構の理事長に吉村氏が就任

【日本専門医機構】
７月の社員総会で専門医制度に一定の方向性示す

会見する吉村理事長（中央）と松原副理事長（左）、山下副理事長（右

四病協の理事枠は１人から２人に
　新専門医制度は、2017年度の実施を目指して日本専門医機構が準備を進めてきたが、実施が近づくにつれて、医師の地域偏在の拡大を招くのではないかなどの懸念が高まった。制度を運営する日本専門医機構のガバナンスの問題を指摘する声も多い。専門医機構は、６月に役員の改選期を迎えたが、専門医制度の実施をめぐって医療界を揺るがす事態となる中で、新たな理事会の動向が注目されていた。
　同機構の社員総会が６月27日に開かれ、関係団体等から推薦を受けた新たな理事24名が承認された。このうち再任は、吉村理事長を含め４人にとどまった。また、これまで四病院団体協議会からの理事は１名だったが、２名となり、神野正博・全日病副会長と森隆夫・日本精神科病院協会常務理事の２名が理事に加わった。なお、日本医学会連合からの推薦枠は吉村理事長を含め２人だったが、残り１人については４日の時点で決まらず、欠員となっている。
オールジャパンの組織に
　吉村理事長は、新たな理事会の構成について、「医師に関係するステークホルダーからの推薦に加え、有識者として一般市民、自治体の首長も入っている。オールジャパンの組織になった」と強調。理事会でしっかりした議論を重ねることで関係者の懸念に応えていく考えを示した。
　吉村理事長は、四病協などが新専門医制度の実施に懸念を表明していることに対し、「このまま新専門医制度を進めると医師偏在を拡大させるという危惧が生じている。まずはガバナンスを確立したい。理事会でしっかりと議論し、決まったことは情報発信する」と述べた。
同じ土俵で一斉にスタート望ましい
　当面は、週１回程度の理事会を重ね、組織体制の充実に取組む考え。財務委員会や総務・規約委員会などの体制を固めるほか、広報活動を充実させることも強調した。そのほか、研修に関わる委員会の委員長の交代の可能性にも言及した。吉村理事長は、「７月中に社員総会を開き、専門医制度について、一定の方向性を示したい」と述べた。
　来年４月から、各学会が新たな研修制度をスタートさせるかどうかが焦点となるが、吉村理事長は、「各学会から地域医療に支障をきたさない方法について具体的な提案をいただく。それがよろしいとなればそのままいくかも知れないし、議論があるということになればいろいろなオプションがある」と述べ、学会の対応をきいた上で判断する考えを示した。
　その上で、「各学会がばらばらに始めるのではなく、できれば同じ土俵で一斉にスタートすることが望ましい。理事や社員と議論していく中で、納得してもらって、一番いいものを決めていきたい」と述べた。