全日病ニュース
2020年に結核の低まん延国目指すと予防指針に盛り込む
2020年に結核の低まん延国目指すと予防指針に盛り込む
【厚労省・厚生科学審議会・結核部会】
厚生科学審議会・結核部会は6月29日、夏に改正する結核予防指針の改正内容を協議した。2020年に人口10万人対罹患率を10以下にする目標値を盛り込む方向で一致した。国際的に、10以下が低まん延国とされている。また結核の入院医療について、患者が減って結核病棟の維持が難しくなっていることから、病床単位での確保などの対策を継続することを了承した。
結核に関する特定感染症予防指針は、地方公共団体、医療関係者、民間団体等が連携して取り組む課題と目標を示しており、現行の指針は2011年に改正されたもの。厚生労働省は今年夏に再度、改正する予定としている。
現行の指針では、結核対策の目標として、2015年に人口10万人対罹患率を「15以下」にすると記載しており、実際の罹患率は14.4で目標を達成した。厚労省は2020年の目標値として「10以下」を指針に盛り込む案を示し、結核部会は了承した。
指針には、患者への直接服薬確認治療率(DOTS 治療率)を2015年に「95%以上」とする目標があるが、2013年時点では87.5%で、達成していない。そこで2020年の目標値は引き続き「95%以上」とすることにした。
結核に感染したが発症していない潜在性結核感染症(LTBI)の人に対し、発症を防ぐための治療を実施することも、結核の蔓延予防につながる。LTBI のDOTS 治療率は地域によりばらつきがあることが課題で、LTBI の人に対する治療を進める対策をとることとした。
現行の指針は「全結核患者に対するDOTS 治療率95%以上」を目標としているが、ここにLTBI を追加することを決めた。改正後の指針では、「全結核患者及びLTBI の者に対するDOTS治療率95%以上」とする。
同日の結核部会では、結核の入院医療体制についても協議した。近年は入院患者数が減少しているため、医療機関が結核病棟を維持しにくくなり、結核病棟を持つ医療機関と病床数が減少している。そのため都道府県は、結核病棟と一般病棟を合わせて一つの看護単位として治療に当たる、いわゆる「ユニット化」を推進。ユニット化は全国40施設で行われており、2015年時点で計597床ある。ユニット化は、入院患者が少ない場合でも効率的に運営できる仕組み。
全日病ニュース2016年7月15日号 HTML版