全日病ニュース

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tPA療法を受けられる体制の確立を目指す

tPA療法を受けられる体制の確立を目指す

【厚労省・脳卒中WG】
脳血管疾患で専門施設を位置づけ

 厚生労働省の「脳卒中に係るワーキンググループ」は8月18日に初会合を開いた。脳卒中急性期の専門的医療を行う施設の役割分担について厚労省が考え方を示し、tPA 療法(血栓溶解療法)が可能な施設を脳卒中の専門施設として位置づけるとともに、24時間体制で外科治療ができる施設を高度専門施設と位置づけることを提案。それぞれに必要な医療資源を「施設」「機器」「人員」に整理して示したが、患者を搬送する病院を厳格に定めることに慎重な意見も出た。
 同WG は、「心血管疾患に係るワーキンググループ」とともに、「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」のもとに設けられた。医療計画の見直しに反映させるため、10月初旬に骨子をまとめ、検討会に報告する。その後も提供体制の詳細に関わる議論を続け、春をめどにまとめる。座長には小川彰・岩手医科大学理事長が選出された。
 厚労省は、急性期の脳卒中患者を治療する施設を整理するに当たって、24時間体制でtPA 療法が可能な施設を「専門的な医療を行う施設」として位置づけることを提案。24時間体制でCT・MRI を実施可能で、人員としては、◇脳卒中診療に従事する医師(脳卒中医、神経内科医、脳神経外科医等)◇リハビリテーションに従事する医師◇理学療法士等◇診療放射線技師等◇退院調整部門─をあげた。
 一方、「高度な専門的医療を行う施設」は、tPA 療法に加えて、「24時間体制で血管内治療、外科治療」が可能な施設とした。脳卒中ケアユニット(SCU)や特定集中治療室(ICU)があり、24時間体制の脳血管撮影装置、経頭蓋ドップラー超音波などの設備が必要とした。人員体制では、専門施設で示した必要人員に加え、脳血管内治療専門医、脳神経外科専門医の配置などを求めた。
 tPA 療法に関しては、2005年にアルテプラーゼ静注が認可されたことを受けて、翌年の診療報酬改定で、tPA療法を算定できる脳卒中ケアユニット加算が新設された。2012年には、脳梗塞発症後の施行可能時間が3時間から4.5時間に延長されるなど、科学的根拠を確立してきた。しかし、tPA 療法の実施率は、脳梗塞患者の4~5%との推計があり、普及しているとはいえない状況にある。
 この日のWG では、「地域で安全かつ確実にtPA 療法が受けられる施設を増やす」(小川座長)という方向性を共有した。一方で、対象の病院を厳格化することに対しては、「地域の中小病院を切り捨てるようにもきこえる」と慎重な対応を求める意見があった。
 小川座長は「24時間対応が必要であるか否かは議論がある。ネットワークでの対応も一つの考えだ」と述べた。
 また、tPA の普及が進まないのは、学会のガイドラインが厳しいことも原因の一つになっているとの指摘もあり、小川座長はガイドラインの緩和を求める意見を骨子に盛り込む意向を示した。
 さらに、遠隔画像診断で適切な診断が可能になれば、専門医でなくても治療を行うことができることから、画像検査の読影法の標準化に期待を示す意見もあった。

 

全日病ニュース2016年9月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 平成26年度診療報酬改定関連通知の一部訂正及び官報掲載事項の一

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2014/140424_2.pdf

    2014年4月23日 ... 注) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票の記入にあたっては、. 「
    一般病棟用の重症 ..... 末梢静脈・中心静脈・硬膜外・動脈・皮下に対して、静脈注射
    輸液・輸血・血液製剤. ・薬液の微量持続 ... ルブミン製剤等)の投与について、血管
    を通して行った場合、その投与後の状況を看護師. 等が管理した .... ワルファリン等)、
    血小板凝固阻害薬(アスピリン等)、血栓溶解薬(アルテプラーゼ、. アボキナーゼ〈 ...

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